同時性肝転移,異時性膵転移・局所再発,尿管転移・肺転移を切除し長期生存が得られている下行結腸癌の1例

症例は53歳の男性で,1996年下行結腸癌,同時性肝転移に対して結腸左半切除,肝左葉外側区域切除術を施行した.1998年血清CEA値が上昇し,腹部CTにて膵尾部に腫瘍性病変を認めたため膵転移を疑い膵尾部脾切除を施行した.術中結腸吻合部背側の再発巣を確認しこれも切除した.病理組織学的検査所見では大腸癌の膵転移および後腹膜再発と診断された.術後2か月で左肺上葉の転移が見つかり左肺部分切除を施行した.1999年胸部CTにて右肺に2個の転移を確認し,さらに骨盤CTで左腸骨動脈に接する尿管転移が見つかった.左尿管転移巣を切除後,右肺転移を切除した.2000年新たな右肺転移を切除した.現在最終手術より10...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 2; pp. 232 - 241
Main Authors 松本, 日洋, 薄井, 信介, 滝口, 典聡, 春木, 茂男, 伊東, 浩次, 平沼, 進, 有田, カイダ, 遠藤, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.232

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Summary:症例は53歳の男性で,1996年下行結腸癌,同時性肝転移に対して結腸左半切除,肝左葉外側区域切除術を施行した.1998年血清CEA値が上昇し,腹部CTにて膵尾部に腫瘍性病変を認めたため膵転移を疑い膵尾部脾切除を施行した.術中結腸吻合部背側の再発巣を確認しこれも切除した.病理組織学的検査所見では大腸癌の膵転移および後腹膜再発と診断された.術後2か月で左肺上葉の転移が見つかり左肺部分切除を施行した.1999年胸部CTにて右肺に2個の転移を確認し,さらに骨盤CTで左腸骨動脈に接する尿管転移が見つかった.左尿管転移巣を切除後,右肺転移を切除した.2000年新たな右肺転移を切除した.現在最終手術より10年経過し無再発で生存している.複数の臓器に次々に転移再発した場合でも,それぞれが切除可能であれば,積極的に手術の計画を立てて切除を繰り返すことにより良好な予後が得られる症例があり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.232