初期治療経頚部ドレナージと段階的経胸腔ドレナージが奏効した後縦隔限局型降下性壊死性縦隔炎の1例

79歳,男性.嗄声,発熱,咽頭痛を主訴に当院を紹介受診した.CTで頚部膿瘍及び気管分岐下の後縦隔に連続する脂肪織濃度の上昇を認め,降下性壊死性縦隔炎と診断した.縦隔領域の膿瘍は後縦隔に限局していたため,初期治療として頚部からのドレナージを選択し,感染制御を目指した.深頚部膿瘍切開排膿術を施行し,縦隔内にドレーンを留置した.術後7日目のCTでは縦隔下部の膿瘍は消退していたが,上縦隔に軽度の遺残膿瘍を認めたため,経胸腔アプローチによる追加の縦隔ドレナージを施行した.胸腔鏡下に縦隔胸膜を切開し膿瘍腔を開放した後,胸腔側からもドレーンを縦隔内に留置した.その後全身状態は徐々に改善し,初回手術から40日...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 7; pp. 585 - 590
Main Authors 室, 雅彦, 富岡, 泰章, 山田, 英司, 真鍋, 建太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.11.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.585

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Summary:79歳,男性.嗄声,発熱,咽頭痛を主訴に当院を紹介受診した.CTで頚部膿瘍及び気管分岐下の後縦隔に連続する脂肪織濃度の上昇を認め,降下性壊死性縦隔炎と診断した.縦隔領域の膿瘍は後縦隔に限局していたため,初期治療として頚部からのドレナージを選択し,感染制御を目指した.深頚部膿瘍切開排膿術を施行し,縦隔内にドレーンを留置した.術後7日目のCTでは縦隔下部の膿瘍は消退していたが,上縦隔に軽度の遺残膿瘍を認めたため,経胸腔アプローチによる追加の縦隔ドレナージを施行した.胸腔鏡下に縦隔胸膜を切開し膿瘍腔を開放した後,胸腔側からもドレーンを縦隔内に留置した.その後全身状態は徐々に改善し,初回手術から40日後に退院した.下部後縦隔まで感染が進展している場合でも膿胸の合併がなく後縦隔に限局していれば,初期治療として経頚部ドレナージを先行し段階的にドレナージを追加する治療戦略は有効である可能性が示唆された.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.585