膵体尾部欠損症に合併したsolid-pseudopapillary tumorの1例

症例は62歳の女性で,前医で膵嚢胞を指摘され当院紹介受診となった.腹部CT上,膵頭部に径9 cmの嚢胞性腫瘤を認め,膵体尾部は欠損していた.Positron emission tomography/CTにて腫瘤に一致して,18F-fluorodeoxyglucoseの異常集積亢進認められたため,悪性の可能性も否定できず手術施行した.術中腫瘤内溶液を穿刺吸引し迅速細胞診断に提出したところ悪性所見は認められなかった.腫瘤を切開すると,内腔には泥状物質が認められたため一部摘出した.迅速病理組織学的診断の結果,充実性腫瘍であり核異型が認められ癌の可能性が否定できなかったため根治術を施行した.術後の病理...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 388 - 393
Main Authors 村田, 繁利, 西崎, 隆, 伊地知, 秀樹, 和田, 寛也, 上甲, 康二, 高橋, 郁雄, 小林, 雄一, 大城, 由美, 白石, 猛, 寺師, 貴啓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2009
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.388

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Summary:症例は62歳の女性で,前医で膵嚢胞を指摘され当院紹介受診となった.腹部CT上,膵頭部に径9 cmの嚢胞性腫瘤を認め,膵体尾部は欠損していた.Positron emission tomography/CTにて腫瘤に一致して,18F-fluorodeoxyglucoseの異常集積亢進認められたため,悪性の可能性も否定できず手術施行した.術中腫瘤内溶液を穿刺吸引し迅速細胞診断に提出したところ悪性所見は認められなかった.腫瘤を切開すると,内腔には泥状物質が認められたため一部摘出した.迅速病理組織学的診断の結果,充実性腫瘍であり核異型が認められ癌の可能性が否定できなかったため根治術を施行した.術後の病理組織学的検査ではsolid-pseudopapillary tumorの診断であり,腫瘍は静脈侵襲,膵後面リンパ節転移を認めた.悪性所見を示すsolid-pseudopapillary tumor,とりわけ膵体尾部欠損症に合併することは極めてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.388