中縦隔発生脱分化型脂肪肉腫の1切除例

背景.縦隔発生の脂肪肉腫は稀である.我々は中縦隔に発生した脱分化型脂肪肉腫の一切除例を経験したので報告する.症例.57歳,女性.持続する咳嗽にて発見された.CTで縦隔から右胸腔に突出する14×10 cmの腫瘤を認め,CTガイド下針生検では粘液線維肉腫が疑われた.リンパ節転移や遠隔転移を示唆する所見はなく,外科治療を選択した.胸骨正中切開に右第4肋間開胸を追加し腫瘍を摘出した.大血管や肺,胸壁への浸潤はなかったが,右横隔神経と奇静脈は合併切除した.病理検査で粘液性変化が目立つ脱分化型脂肪肉腫と診断された.切除断端陽性と診断されたため,計66 Gy/33 frの放射線治療を追加した.術後7ヵ月経過...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 439 - 445
Main Authors 福冨, 寿典, 大竹, 宗太郎, 小山, 孝彦, 堀口, 寿里安
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.07.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.439

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Summary:背景.縦隔発生の脂肪肉腫は稀である.我々は中縦隔に発生した脱分化型脂肪肉腫の一切除例を経験したので報告する.症例.57歳,女性.持続する咳嗽にて発見された.CTで縦隔から右胸腔に突出する14×10 cmの腫瘤を認め,CTガイド下針生検では粘液線維肉腫が疑われた.リンパ節転移や遠隔転移を示唆する所見はなく,外科治療を選択した.胸骨正中切開に右第4肋間開胸を追加し腫瘍を摘出した.大血管や肺,胸壁への浸潤はなかったが,右横隔神経と奇静脈は合併切除した.病理検査で粘液性変化が目立つ脱分化型脂肪肉腫と診断された.切除断端陽性と診断されたため,計66 Gy/33 frの放射線治療を追加した.術後7ヵ月経過し明らかな再発なく生存中である.結論.脱分化型脂肪肉腫は予後不良とされている.文献的考察を加え報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.439