再発を来した膵原発malignant solitary fibrous tumorの1例

症例は50歳の男性で,健診腹部USにより膵尾部腫瘤を指摘され,精査加療目的にて当院受診となった.腹部CT上,膵尾部に9 cmおよび3 cm大,膵頭後部に3 cm大の腫瘤を認めた.膵頭後部リンパ節転移をともなう膵尾部悪性内分泌腫瘍を疑い,膵体尾部切除を施行したが,切除標本の免疫組織化学染色検査にて孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor;以下,SFTと略記)と診断された.また凝固壊死巣および多数の核分裂像が認められ,malignant SFTが疑われた.術後21か月後の腹部CTにて膵局所再発を認めたが,手術は希望されず,化学放射線療法を施行後,経過観察中である.SFTは比較...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 9; pp. 961 - 969
Main Authors 矢作, 雅史, 半田, 寛, 西, 知彦, 関根, 和彦, 下山, 豊, 山梨, 高広, 鳥海, 史樹, 向井, 清, 白鳥, 史明, 五十嵐, 一晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.961

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Summary:症例は50歳の男性で,健診腹部USにより膵尾部腫瘤を指摘され,精査加療目的にて当院受診となった.腹部CT上,膵尾部に9 cmおよび3 cm大,膵頭後部に3 cm大の腫瘤を認めた.膵頭後部リンパ節転移をともなう膵尾部悪性内分泌腫瘍を疑い,膵体尾部切除を施行したが,切除標本の免疫組織化学染色検査にて孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor;以下,SFTと略記)と診断された.また凝固壊死巣および多数の核分裂像が認められ,malignant SFTが疑われた.術後21か月後の腹部CTにて膵局所再発を認めたが,手術は希望されず,化学放射線療法を施行後,経過観察中である.SFTは比較的まれな腫瘍であり,多くは胸膜に関連した胸腔内病変として発生する.膵臓原発のSFT報告例は極めてまれであり,再発を含め悪性の転帰をたどった症例は自験例のみである.貴重な症例と考え,文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.961