気管気管支骨軟骨形成症に合併した食道癌
症例は63歳の男性で,検診の上部消化管内視鏡検査で食道粘膜下腫瘍と診断され半年後の経過観察とされた.半年後の検査で粘膜下腫瘍は多発し,超音波内視鏡下生検で扁平上皮癌と診断された.CTで食道の主病巣はT3,リンパ節はNo. 105に腫大を認め気管を圧排していた.また気管から右主気管支にかけて右側気管壁の肥厚を認めた.PETで主病巣とNo. 105リンパ節の部位に集積を認めた.気管支鏡検査で気管から右主気管支にかけて膜様部と軟骨部の境界に不整な多発する隆起性病変を認めた.初回生検で確定診断に至らなかったが,2回目の生検で気管気管支骨軟骨形成症と診断された.その結果,Stage III食道癌と診断し...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 9; pp. 923 - 929 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.09.2012
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.45.923 |
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Summary: | 症例は63歳の男性で,検診の上部消化管内視鏡検査で食道粘膜下腫瘍と診断され半年後の経過観察とされた.半年後の検査で粘膜下腫瘍は多発し,超音波内視鏡下生検で扁平上皮癌と診断された.CTで食道の主病巣はT3,リンパ節はNo. 105に腫大を認め気管を圧排していた.また気管から右主気管支にかけて右側気管壁の肥厚を認めた.PETで主病巣とNo. 105リンパ節の部位に集積を認めた.気管支鏡検査で気管から右主気管支にかけて膜様部と軟骨部の境界に不整な多発する隆起性病変を認めた.初回生検で確定診断に至らなかったが,2回目の生検で気管気管支骨軟骨形成症と診断された.その結果,Stage III食道癌と診断し術前化学療法後に手術を行った.腫瘍の急激な進行のため気管転移・浸潤を疑い治療方針決定に苦慮した.非常にまれではあるが,我々消化器外科医も気管気管支骨軟骨形成症について留意しておくべきであると思われる. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.45.923 |