人工呼吸器関連肺障害に伴う縦隔気腫に対する剣状突起下縦隔ドレナージの経験

症例は63歳,女性.COVID-19陽性,侵襲性肺炎球菌感染症,ARDSに対して人工呼吸管理継続中であった.入院第21病日に気管切開が施行されたが,施行前日の胸部CTで前縦隔に限局性の縦隔気腫が出現した.以降縦隔から皮下に気腫が拡大した.腹臥位管理で呼吸循環動態が改善せず当科コンサルトとなった.縦隔ドレナージを行う方針とした.前胸壁からのアプローチではスペースが狭く,剣状突起下からのアプローチを選択した.剣状突起下から前縦隔の気腫を鈍的に開放してから24 Frのドレーンを留置した.その際,ドレーン側孔閉塞の回避目的でドレーンの側孔を追加した.胸部CTで縦隔気腫は著明に減少し,S/F比も一時的に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 465 - 469
Main Authors 三和, 健, 中西, 敦之, 足立, 一真, 田邊, 翔太, 宇賀田, 圭, 松田, 高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.07.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.465

Cover

More Information
Summary:症例は63歳,女性.COVID-19陽性,侵襲性肺炎球菌感染症,ARDSに対して人工呼吸管理継続中であった.入院第21病日に気管切開が施行されたが,施行前日の胸部CTで前縦隔に限局性の縦隔気腫が出現した.以降縦隔から皮下に気腫が拡大した.腹臥位管理で呼吸循環動態が改善せず当科コンサルトとなった.縦隔ドレナージを行う方針とした.前胸壁からのアプローチではスペースが狭く,剣状突起下からのアプローチを選択した.剣状突起下から前縦隔の気腫を鈍的に開放してから24 Frのドレーンを留置した.その際,ドレーン側孔閉塞の回避目的でドレーンの側孔を追加した.胸部CTで縦隔気腫は著明に減少し,S/F比も一時的に上昇した.しかしその後はVV ECMO,腹臥位管理で呼吸循環動態の改善が見込めず,第56病日に肺炎による敗血症性ショックで死亡退院となった.縦隔ドレナージで一時的ではあったが酸素化の改善に寄与した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.465