急速に増大した食道巨大carcinosarcomaの1例
発熱,嚥下障害を主訴に入院した54歳の男性に,上部消化管内視鏡検査で食道のIuからEaに及ぶ黒褐色で血管に富む巨大腫瘤を認めた。この所見およびX線像から,carcinosarcomaを疑った。縦隔リンパ節転移,左主気管支浸潤を認め,肝硬変の合併を認めた。放射線治療を行い,腫瘤はかなり縮小したが,食道外浸潤を生じ,胸腔内へ穿破し,膿胸をおこして死亡した。剖検の組織所見よりso-called carcinosarcomaと診断された。当院では過去5年間の上部消化管内視鏡検査において,食道癌を325例経験したが,carcinosarcomaは本例を含めて3例であった。他の2例は本例のように巨大でなく...
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Published in | 消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy Vol. 42; pp. 165 - 168 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
1993
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Subjects | |
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ISSN | 0389-9403 0389-9403 |
DOI | 10.11641/pdensks.42.0_165 |
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Summary: | 発熱,嚥下障害を主訴に入院した54歳の男性に,上部消化管内視鏡検査で食道のIuからEaに及ぶ黒褐色で血管に富む巨大腫瘤を認めた。この所見およびX線像から,carcinosarcomaを疑った。縦隔リンパ節転移,左主気管支浸潤を認め,肝硬変の合併を認めた。放射線治療を行い,腫瘤はかなり縮小したが,食道外浸潤を生じ,胸腔内へ穿破し,膿胸をおこして死亡した。剖検の組織所見よりso-called carcinosarcomaと診断された。当院では過去5年間の上部消化管内視鏡検査において,食道癌を325例経験したが,carcinosarcomaは本例を含めて3例であった。他の2例は本例のように巨大でなく,病理組織学的にはpseudosarcomaおよびso-called carcinosarcomaと診断された。本例のように食道内腔を閉塞するように巨大に発育した後,食道外に急速に進展したcarcinosarcomaはまれのため報告する。 |
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ISSN: | 0389-9403 0389-9403 |
DOI: | 10.11641/pdensks.42.0_165 |