肺葉外肺分画症捻転に対して完全鏡視下手術を施行した1例

肺葉外肺分画症は無症状で偶然発見されることが多いが,稀に茎捻転を起こし臨床症状を呈する.今回,肺葉外肺分画症捻転に対して完全鏡視下手術を施行し,診断加療した小児例を経験したので報告する.症例は12歳,男児.左側腹部痛のため当院救急外来を受診し,小児科に入院した.入院時の胸腹部CTでは左胸腔内の横隔膜直上,左傍脊椎に3 cm大の腫瘤と少量の胸水を認めた.入院4日目のダイナミックCT上,左胸水が増加し,左傍脊椎腫瘤には造影効果を認めなかった.肺葉外肺分画症捻転が疑われ当科に紹介となり,手術を施行した.腫瘤は下行大動脈近傍に存在し,その尾側に大動脈と交通する血管が存在したため,肺葉外肺分画症と考えた...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 6; pp. 518 - 525
Main Authors 山岡, 大将, 川野, 亮二, 永山, 加奈, 小林, 零
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.09.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.518

Cover

More Information
Summary:肺葉外肺分画症は無症状で偶然発見されることが多いが,稀に茎捻転を起こし臨床症状を呈する.今回,肺葉外肺分画症捻転に対して完全鏡視下手術を施行し,診断加療した小児例を経験したので報告する.症例は12歳,男児.左側腹部痛のため当院救急外来を受診し,小児科に入院した.入院時の胸腹部CTでは左胸腔内の横隔膜直上,左傍脊椎に3 cm大の腫瘤と少量の胸水を認めた.入院4日目のダイナミックCT上,左胸水が増加し,左傍脊椎腫瘤には造影効果を認めなかった.肺葉外肺分画症捻転が疑われ当科に紹介となり,手術を施行した.腫瘤は下行大動脈近傍に存在し,その尾側に大動脈と交通する血管が存在したため,肺葉外肺分画症と考えた.捻転の有無は確認困難であったが,腫瘤は鬱血して暗赤色を呈していた.流入血管を切離し,腫瘤を摘出した.術後経過は良好で,術後4日目に退院した.病理組織診断は,出血性梗塞を伴う肺葉外肺分画症であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.518