終末期胃癌症例に対する消化器外科医による緩和医療の効果

はじめに:消化器外科医を中心とした緩和ケアチームによる治療状況について検討を行った.方法:終末期胃癌患者53例を対象に緩和ケアチーム設立以前の前期(18例)と設立後の後期(35例)に分け治療状況の変遷を検討した.結果:疼痛管理が行われた症例は前期61.1%,後期85.7%であった.WHO疼痛ラダーに従った投与は前期58.3%,後期96.7%に行われ,オピオイドに対する副作用対策(嘔気,便秘)が予防的に実施されたのは前期18.2%,後期79.2%であった.後期において酢酸オクトレオチドやハロペリドールの持続皮下投与が導入され,40%に施行されたが,胃管やイレウス管を再挿入する症例は認めず,癌性イ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 233 - 237
Main Authors 片桐, 美和, 中村, 寧, 中村, 陽一, 渡邉, 学, 長尾, さやか, 榎本, 俊行, 長尾, 二郎, 斉田, 芳久, 草地, 信也, 渡邊, 良平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.03.2009
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.233

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Summary:はじめに:消化器外科医を中心とした緩和ケアチームによる治療状況について検討を行った.方法:終末期胃癌患者53例を対象に緩和ケアチーム設立以前の前期(18例)と設立後の後期(35例)に分け治療状況の変遷を検討した.結果:疼痛管理が行われた症例は前期61.1%,後期85.7%であった.WHO疼痛ラダーに従った投与は前期58.3%,後期96.7%に行われ,オピオイドに対する副作用対策(嘔気,便秘)が予防的に実施されたのは前期18.2%,後期79.2%であった.後期において酢酸オクトレオチドやハロペリドールの持続皮下投与が導入され,40%に施行されたが,胃管やイレウス管を再挿入する症例は認めず,癌性イレウスに対する有効性を確認した.全身倦怠感や食欲不振には前期11.1%,後期54.3%にステロイドが投与された.死亡前日の輸液量の平均は前期1,361.7 ml,後期816.2 mlと後期で減少していた.また,後期では患者の状態により輸液の皮下投与を選択した.最終入院での高カロリー輸液実施率は前期27.8%,後期11.4%と減少した.考察:緩和ケアチームが立ち上がった後期以降において,消化器外科医の緩和医療に対する認識が高まり,オピオイドを含めた鎮痛薬の適正な使用,消化器症状を中心とした症状コントロール,適正な輸液管理が行われていることが確認された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.233