食道癌外科治療の現況 3領域リンパ節郭清手術の生存解析から

悪性度の高い食道癌に対してリンパ節郭清の徹底化を図るためにわが国で3領域リンパ節郭清手術が完成された. 他の消化器癌手術に比べ難易度や侵襲度の高い本手術の適応と限界を, 生存解析から明らかにすることが本研究の目的である. 食道癌に対する3領域リンパ節郭清手術後の生存解析の結果から, その治療成績は必ずしも均霑化されておらず, 施設間格差が存在すると考えられる. また, 3領域リンパ節郭清手術の郭清効果が十分に期待できるのは転移個数が5個以下の症例であり, 厳格な3領域リンパ節郭清手術を施行することによって, 局所進行食道癌に対して60%前後の5年生存率が期待でき, この生存率は根治化学放射線治...

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Published in順天堂医学 Vol. 53; no. 4; pp. 542 - 551
Main Authors 富田, 夏実, 天野, 高行, 橋口, 忠典, 折田, 創, 高木, 麻子, 高山, 敏夫, 伊藤, 智彰, 斎田, 将之, 森, 貴之, 梶山, 美明, 酒井, 康孝, 内田, 陽介, 諫山, 冬美, 櫛田, 知志, 鶴丸, 昌彦, 岩沼, 佳見, 大内, 一智, 橋本, 貴史, 那須, 元美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 順天堂医学会 2007
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ISSN0022-6769
2188-2134
DOI10.14789/pjmj.53.542

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Summary:悪性度の高い食道癌に対してリンパ節郭清の徹底化を図るためにわが国で3領域リンパ節郭清手術が完成された. 他の消化器癌手術に比べ難易度や侵襲度の高い本手術の適応と限界を, 生存解析から明らかにすることが本研究の目的である. 食道癌に対する3領域リンパ節郭清手術後の生存解析の結果から, その治療成績は必ずしも均霑化されておらず, 施設間格差が存在すると考えられる. また, 3領域リンパ節郭清手術の郭清効果が十分に期待できるのは転移個数が5個以下の症例であり, 厳格な3領域リンパ節郭清手術を施行することによって, 局所進行食道癌に対して60%前後の5年生存率が期待でき, この生存率は根治化学放射線治療の成績よりも良好であった. 一方リンパ節転移個数は食道癌の最も強力な予後因子であり, 転移個数が6個以上になると予後は急激に低下するためリンパ節多数転移例に対しては今後新たな全身治療法の開発が必須であると考えられる.
ISSN:0022-6769
2188-2134
DOI:10.14789/pjmj.53.542