個人と集団活動を通したレジリエンス・プログラムの再検証

本研究では,上野・平野(2019)が開発した個人と集団活動の両者を含むレジリエンス・プログラムの再検証を行うことを目的とし,統制群を設定した非無作為化比較対照試験を実施した。調査対象者は大学生であり,レジリエンス・プログラム実施群(介入群)49名(男性16名,女性33名,平均年齢18.67歳,SD=0.75),未実施群(統制群)50名(男性17名,女性33名,平均年齢18.50歳,SD=0.11)であった。二要因混合計画分散分析の結果から,獲得的レジリエンス要因のみ有意な交互作用が認められた。介入群ではPre(個人活動前)と比較しPost(集団活動後)の方が,Postでは統制群よりも介入群の方...

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Published in教育心理学研究 Vol. 68; no. 3; pp. 322 - 331
Main Authors 上野, 雄己, 平野, 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.09.2020
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ISSN0021-5015
2186-3075
DOI10.5926/jjep.68.322

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Summary:本研究では,上野・平野(2019)が開発した個人と集団活動の両者を含むレジリエンス・プログラムの再検証を行うことを目的とし,統制群を設定した非無作為化比較対照試験を実施した。調査対象者は大学生であり,レジリエンス・プログラム実施群(介入群)49名(男性16名,女性33名,平均年齢18.67歳,SD=0.75),未実施群(統制群)50名(男性17名,女性33名,平均年齢18.50歳,SD=0.11)であった。二要因混合計画分散分析の結果から,獲得的レジリエンス要因のみ有意な交互作用が認められた。介入群ではPre(個人活動前)と比較しPost(集団活動後)の方が,Postでは統制群よりも介入群の方が,それぞれ有意に獲得的レジリエンス要因の得点が高いことが示された。次に,個人活動後に集団活動を行った場合の総合的な効果の検証を行うために,反復一要因分散分析を施した結果,資質的レジリエンス要因,獲得的レジリエンス要因ともに個人活動の前後である1回目と2回目では有意な差はみられず,集団活動後の4回目において両要因のレジリエンス得点が上昇することが確認された。以上のことから,個人と集団活動を通したレジリエンス・プログラムの妥当性が示唆された。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep.68.322