婦人科腹腔鏡手術での術中・術後のトラブル発症とリカバリー 筆者の黎明期から現在までを振り返って

我が国の産婦人科領域における腹腔鏡手術は1990年頃にはじまり,2010年と2019年の手術件数は28,431 件から86,402 件へと3.0 倍に増加する一方,開腹移行頻度は0.64%から0.21%へと1/3 に減少している。ところが,「術中」偶発症と「術後」合併症の頻度は1.24%から3.97%へと3.2 倍に増加している。手術合併症を減らすには,トラブル発症時の適切で迅速なリカバリーが必要となる。手術合併症増加の要因には,①適応の拡大,②難度の高い症例の増加,③若手医師の育成などがあげられる。筆者は,黎明期より腹腔鏡手術を開始し,現在も術者と指導者として腹腔鏡手術に従事している。本稿で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 3; pp. 363 - 368
Main Authors 田中, 美喜歩, 川北, かおり, 鈴木, 嘉穂, 石原, あゆみ, 陌間, 亮一, 岡田, 隆幸, 三上, 千尋, 丸尾, 伸之, 柴田, 綾子, 西舘, 野阿, 伊熊, 健一郎, 村上, 暢子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.363

Cover

More Information
Summary:我が国の産婦人科領域における腹腔鏡手術は1990年頃にはじまり,2010年と2019年の手術件数は28,431 件から86,402 件へと3.0 倍に増加する一方,開腹移行頻度は0.64%から0.21%へと1/3 に減少している。ところが,「術中」偶発症と「術後」合併症の頻度は1.24%から3.97%へと3.2 倍に増加している。手術合併症を減らすには,トラブル発症時の適切で迅速なリカバリーが必要となる。手術合併症増加の要因には,①適応の拡大,②難度の高い症例の増加,③若手医師の育成などがあげられる。筆者は,黎明期より腹腔鏡手術を開始し,現在も術者と指導者として腹腔鏡手術に従事している。本稿では,筆者がこれまでにかかわった9,106 件の手術件数のうち,51 件(0.56%)の「術中」偶発症と「術後」合併症を検証し,その要因や対策法を明確化し,トラブルシューティングの参考になることを願い報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.363