ワイヤ放電加工におけるSUS304加工表面の過剰付着のメカニズムに関する研究

ワイヤカット放電加工表面の面性状や表面粗さは,放電痕,ワイヤ電極や工作物の溶融金属再凝固,熱影響部や電解腐食といった加工変質層の形成等による影響を受ける.とくに,溶融金属再凝固は加工表面のスラッジとして表面性状に大きな影響を及ぼすため少ない方が好ましく,市販のワイヤカット放電加工機を推奨された条件で使う限りでは問題にならない程度の付着しか生じない.しかし,被加工物の形状によってはこの条件を逸脱した加工を実施する必要が生じ,実際に加工表面において溶融金属の再凝固を観察することになる.そこで本研究では,SUS304薄板のファ-ストカット加工に対して,あえて推奨条件を逸脱した環境で加工を実施し,溶融...

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Published in砥粒加工学会誌 Vol. 68; no. 7; pp. 392 - 398
Main Authors 山本, 敦子, 納冨, 充雄, 中, 吉嗣, 澤野, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 砥粒加工学会 01.07.2024
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ISSN0914-2703
1880-7534
DOI10.11420/jsat.68.392

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Summary:ワイヤカット放電加工表面の面性状や表面粗さは,放電痕,ワイヤ電極や工作物の溶融金属再凝固,熱影響部や電解腐食といった加工変質層の形成等による影響を受ける.とくに,溶融金属再凝固は加工表面のスラッジとして表面性状に大きな影響を及ぼすため少ない方が好ましく,市販のワイヤカット放電加工機を推奨された条件で使う限りでは問題にならない程度の付着しか生じない.しかし,被加工物の形状によってはこの条件を逸脱した加工を実施する必要が生じ,実際に加工表面において溶融金属の再凝固を観察することになる.そこで本研究では,SUS304薄板のファ-ストカット加工に対して,あえて推奨条件を逸脱した環境で加工を実施し,溶融金属再凝固を再現すると同時に,加工中の放電加工電圧の変化を計測し,加工後には生成された加工表面に対して凹凸プロファイル測定とX線回折によるスラッジの元素推定を行った.さらに,切断を途中で中止する加工も実施し,形成された溝の形状観察結果を先の結果と合わせることにより再凝固のプロセスを検討した.これら結果から,通常付着と過剰付着を定義し,過剰付着が生じるメカニズムについて明らかにした.
ISSN:0914-2703
1880-7534
DOI:10.11420/jsat.68.392