調理実習における食物アレルギー対応と学校内での組織体制の課題 札幌市・石狩管内中学校の家庭科教員調査より
本研究の目的は, 中学校家庭科教員の調理実習時における食物アレルギー対応と, 学校内での食物アレルギーに関わる組織体制の現状について把握し, 課題を提示することである. 札幌圏の中学校の家庭科教員を対象とし, 2019年11月~2020年2月に, 郵送法による質問紙調査を実施した. 質問紙配布数は公立中学校と私立中学校を合わせて計144部, 回収数は63部で, 回収率は43.8%だった. 結果は以下の通りである. 学校内の食物アレルギーに関わる組織体制が整備されていた中学校は, わずか30.1%だった. 食物アレルギー症状を持つ生徒数を把握している家庭科教員の割合は55.6%だった. 保護者か...
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| Published in | 日本家政学会誌 Vol. 73; no. 7; pp. 387 - 401 |
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| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本家政学会
2022
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0913-5227 1882-0352 |
| DOI | 10.11428/jhej.73.387 |
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| Summary: | 本研究の目的は, 中学校家庭科教員の調理実習時における食物アレルギー対応と, 学校内での食物アレルギーに関わる組織体制の現状について把握し, 課題を提示することである. 札幌圏の中学校の家庭科教員を対象とし, 2019年11月~2020年2月に, 郵送法による質問紙調査を実施した. 質問紙配布数は公立中学校と私立中学校を合わせて計144部, 回収数は63部で, 回収率は43.8%だった. 結果は以下の通りである. 学校内の食物アレルギーに関わる組織体制が整備されていた中学校は, わずか30.1%だった. 食物アレルギー症状を持つ生徒数を把握している家庭科教員の割合は55.6%だった. 保護者から, 調理実習時の食物アレルギー対応を依頼されたことがある家庭科教員ほど, 食物アレルギー症状の有無に拘わらず, 全ての生徒が共に食べることができる共通メニューによる調理実習を実施する傾向が見られた. 食物アレルギーに対応した調理実習例が教科書に掲載された方がよいと考える家庭科教員の割合は, 76.2%と高かった. 現在, 学校では学校給食における食物アレルギー対応が重視されているが, 生徒の安全と教育の機会均等を守るため, 家庭科の調理実習にも対応できる食物アレルギーに関わる学校組織体制づくりが求められる. 今後は, 調理実習における家庭科担当教員の負担を減らし, 食物アレルギーに対応した調理実習題材の開発と普及が必要である. |
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| ISSN: | 0913-5227 1882-0352 |
| DOI: | 10.11428/jhej.73.387 |