肺多形癌小腸転移による穿孔性腹膜炎の1例 本邦報告例の集計

腰痛を主訴に整形外科を受診し,原発性肺癌の脊椎転移と診断された64歳男性。脊柱後方固定術後2日目から腹部膨満と胆汁性嘔吐が出現し,麻痺性イレウスの診断下に保存的治療を5日間施行されたが症状軽快せず,当科紹介となった。腹部に圧痛と筋性防御を認め,CTで多量の腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,原因として肺癌小腸転移をもっとも疑った。救命目的で緊急開腹すると,空腸に10mm径の穿孔と腸間膜リンパ節腫大を認め,穿孔部を含む小腸を切除して端々吻合で再建し,所属リンパ節の一部をsampling目的で摘出した。切除標本の病理組織診断は肺多形癌の小腸・リンパ節転移であった。術後18日...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; pp. 633 - 636
Main Authors 大塚, 恭寛, 小松, 悌介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.633

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Summary:腰痛を主訴に整形外科を受診し,原発性肺癌の脊椎転移と診断された64歳男性。脊柱後方固定術後2日目から腹部膨満と胆汁性嘔吐が出現し,麻痺性イレウスの診断下に保存的治療を5日間施行されたが症状軽快せず,当科紹介となった。腹部に圧痛と筋性防御を認め,CTで多量の腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,原因として肺癌小腸転移をもっとも疑った。救命目的で緊急開腹すると,空腸に10mm径の穿孔と腸間膜リンパ節腫大を認め,穿孔部を含む小腸を切除して端々吻合で再建し,所属リンパ節の一部をsampling目的で摘出した。切除標本の病理組織診断は肺多形癌の小腸・リンパ節転移であった。術後18日目に化学療法目的で呼吸器内科に転科したが,治療導入前の再評価で全身転移の存在が判明し,患者自身が緩和医療を選択され,術後64日目に永眠された。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.633