SALL4陽性・AFP陰性の胎児消化管類似胃癌の1例

症例は82歳,女性.貧血の精査で内視鏡検査を施行.噴門部から胃体下部小彎後壁側にかけて2型病変を認め,生検にてadenocarcinomaと診断されたため,胃全摘・膵脾合併切除術を施行した.病理組織検査でSALL4陽性,AFP陰性を示し,胎児消化管類似癌と診断された.年齢を考慮し,術後補助化学療法は施行しなかった.術後1年2カ月で子宮・左閉鎖リンパ節・腹膜転移を認め,術後1年3カ月で肝転移をきたし,術後1年4カ月で永眠に至った.胎児消化管類似胃癌は,悪性上皮性腫瘍の特殊型に分類される非常に稀な疾患であり,また高率で静脈侵襲・リンパ管侵襲・肝転移をきたし極めて予後不良であるとされている.しかしな...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 10; pp. 1399 - 1405
Main Authors 山下, 浩正, 畑佐, 実咲, 深谷, 昌秀, 青葉, 太郎, 有元, 淳記, 平松, 和洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1399

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Summary:症例は82歳,女性.貧血の精査で内視鏡検査を施行.噴門部から胃体下部小彎後壁側にかけて2型病変を認め,生検にてadenocarcinomaと診断されたため,胃全摘・膵脾合併切除術を施行した.病理組織検査でSALL4陽性,AFP陰性を示し,胎児消化管類似癌と診断された.年齢を考慮し,術後補助化学療法は施行しなかった.術後1年2カ月で子宮・左閉鎖リンパ節・腹膜転移を認め,術後1年3カ月で肝転移をきたし,術後1年4カ月で永眠に至った.胎児消化管類似胃癌は,悪性上皮性腫瘍の特殊型に分類される非常に稀な疾患であり,また高率で静脈侵襲・リンパ管侵襲・肝転移をきたし極めて予後不良であるとされている.しかしながら,症例数が少なく確立された治療方針はないため,今後の検討が期待される.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1399