敗血症性ショックを呈した特発性胆囊穿孔の1例

症例は85歳,男性.著明な発汗を主訴に当院を受診した.受診時低血圧,頻脈,酸素化不良を認め,ショック状態であった.腹部は膨満し,臍部から右下腹部に圧痛を認め,血液生化学検査では炎症反応が高値であった.腹部造影CTでは腹水貯留,および小腸拡張と腸管の集簇像を認めたため,絞扼性腸閉塞の術前診断で緊急開腹手術を行った.開腹すると,腹腔内に胆汁性腹水を多量に認め,小腸の拡張はあるものの絞扼所見や狭窄部は認めなかった.胆囊底部に約3mmの穿孔部を認め,胆囊穿孔の術中診断で,胆囊摘出術および腹腔ドレナージを施行した.術中所見と切除標本,病理所見から特発性胆囊穿孔と診断された.特発性胆囊穿孔は胆石や胆囊炎な...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 11; pp. 1556 - 1560
Main Authors 上田, 晶彦, 中島, 亮, 杉戸, 伸好, 村元, 雅之, 内山, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1556

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Summary:症例は85歳,男性.著明な発汗を主訴に当院を受診した.受診時低血圧,頻脈,酸素化不良を認め,ショック状態であった.腹部は膨満し,臍部から右下腹部に圧痛を認め,血液生化学検査では炎症反応が高値であった.腹部造影CTでは腹水貯留,および小腸拡張と腸管の集簇像を認めたため,絞扼性腸閉塞の術前診断で緊急開腹手術を行った.開腹すると,腹腔内に胆汁性腹水を多量に認め,小腸の拡張はあるものの絞扼所見や狭窄部は認めなかった.胆囊底部に約3mmの穿孔部を認め,胆囊穿孔の術中診断で,胆囊摘出術および腹腔ドレナージを施行した.術中所見と切除標本,病理所見から特発性胆囊穿孔と診断された.特発性胆囊穿孔は胆石や胆囊炎などの明らかな原因はなく,胆囊壁の穿孔をきたす比較的稀な疾患である.今回,敗血症性ショックを呈した特発性胆囊穿孔の1例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1556