川西市高齢者歯科診療所における全身管理

兵庫県川西市では, 「高齢者歯科診療所」が開設され平成10年5月より診療を開始した。 開設より1年間に診療を行った患者を対象に基礎疾患および術前検査の結果などを中心に検討し, 在宅要介護高齢者の歯科診療におけるリスクにっいて考察した。 患者総i数は69名。平均年齢は81歳であった。来院理由は義歯に関連した主訴にて来院した患者が6割を占めていた。 全ての受診者が全身的な基礎疾患を有しており, 1人平均約2種類の基礎疾患を有していた。初診時に行った心電図検査では, 心電図検査が行えたもの65例中59例 (90%) に異常所見が認められた。虚血性変化を示した患者が約3割認められ, その他伝導障害,...

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Published in老年歯科医学 Vol. 15; no. 1; pp. 64 - 71
Main Authors 辻, 英喜, 八木, 由紀子, 中村, 憲太郎, 荒井, 千重子, 松浦, 英夫, 丹羽, 均, 森永, 英男, 藤木, 薫, 橋口, 清光, 福家, 秀一, 原田, 茂光, 谷, 茂樹, 今西, 要
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.07.2000
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg1987.15.64

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Summary:兵庫県川西市では, 「高齢者歯科診療所」が開設され平成10年5月より診療を開始した。 開設より1年間に診療を行った患者を対象に基礎疾患および術前検査の結果などを中心に検討し, 在宅要介護高齢者の歯科診療におけるリスクにっいて考察した。 患者総i数は69名。平均年齢は81歳であった。来院理由は義歯に関連した主訴にて来院した患者が6割を占めていた。 全ての受診者が全身的な基礎疾患を有しており, 1人平均約2種類の基礎疾患を有していた。初診時に行った心電図検査では, 心電図検査が行えたもの65例中59例 (90%) に異常所見が認められた。虚血性変化を示した患者が約3割認められ, その他伝導障害, 不整脈を示す患者が多数存在した。このことは, 歯科治療時の心電図モニターが不可欠であることを示していた。初診患者69名中観血処置が予定された36名に対して血液検査を行った。感染症患者と判明したもののうち, 医科からの情報があったものは2例で, 残りの9例は本診療所の検査で新たに判ったものである。 全身管理方法としては, 全例初診時において標準12誘導心電図検査を行い, 観血処置を行う際には術前に血液検査を行ったうえ, 必要に応じて各種モニターおよび精神鎮静法を使用して治療を行った。 したがって, 在宅診療が必要となる患者の多くは, 診療時のリスクは高く, 高齢者歯科診療所のような設備の整った固定施設へ搬送して歯科治療を行うことが望ましいと考えられた。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.15.64