若年者を含む非高齢者を対象にしたロコモティブシンドロームスクリーニングツール(L-treeS)のdomain validationの検証

【はじめに】ロコモティブシンドローム (ロコモ)のスクリーニ ングは生活指導が必要となる人々を特定するために有用である。我々は高齢者を対象にした臨床予測ルールとしてロコモスクリーニングツール (L-treeS)を開発した。L-treeSは片脚立ち保持時間と握力からロコモの有無をスクリーニングするツールである。一般的に臨床予測ルールの妥当性はtemporal validation、 geographical validation、domain validationがある。このうち domain validationは異なる対象者で検証される妥当性を意味する。本研究の目的は若年者を含む非高齢者を対...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 131
Main Authors 田中, 亮, 井上, 優, 鄭, 勳九, 山科, 俊輔, 安達, 伸生, 田中, 繁治, 生田, 祥也, 三上, 幸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2025
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_131

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Summary:【はじめに】ロコモティブシンドローム (ロコモ)のスクリーニ ングは生活指導が必要となる人々を特定するために有用である。我々は高齢者を対象にした臨床予測ルールとしてロコモスクリーニングツール (L-treeS)を開発した。L-treeSは片脚立ち保持時間と握力からロコモの有無をスクリーニングするツールである。一般的に臨床予測ルールの妥当性はtemporal validation、 geographical validation、domain validationがある。このうち domain validationは異なる対象者で検証される妥当性を意味する。本研究の目的は若年者を含む非高齢者を対象にしてL-treeSのdomain validationを検証することである。【方法】本研究のデザインは横断研究であった。対象は非高齢者であり、移動が自立している18歳以上65歳未満の者のデータを解析に含めた。片脚立ち保持時間は左右どちらかの脚だけで保持できる最長時間を計測した (上限1分)。握力は左右で測定してその平均値を使用した。ロコモの有無は立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25を用いて判断した。診断精度を評価するためにL-treeSを使って予測されたロコモの有無を行とし、実際のロコモの有無を列とする2×2クロス集計表を作成し、感度、特異度、陰性尤度比、陽性尤度比、陰性的中率、陽性的中率を算出した。ROC解析を行いArea under the curve (AUC)を求めた。【結果】281名 (平均年齢47.6歳)のデータが本研究に含められた (女性205名、男性76名)。ロコモ該当者は145名だった (51.6%)。L-treeSの感度は.172、特異度は.941、陰性尤度比は .879、陽性尤度比は2.931、陰性的中率は51.6%、陽性的中率は75.8%、AUCは.573だった。【考察】高齢者を対象にしたL-treeSのAUCは.701あるいは.737と報告されている。非高齢者を対象にした本研究のAUCはこれらより低く、L-treeSの高いdomain validationは支持されなかった。本研究では感度が低く、実際はロコモであるにもかかわらずL-treeSではロコモでないと判断された割合が多かった。この原因の解明と対策がL-treeSの妥当性向上の課題であると考えられた。【結論】ロコモのスクリーニングツールとして開発された L-treeSの高いdomain validationは支持されなかった。【倫理的配慮】広島大学疫学研究倫理審査委員会の承認を得た (許可番号:E2022-0086)。口頭および文書により説明を行い同意を得た。
Bibliography:O - 89
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_131