無症状で発見された胃癌虫垂転移の1例

症例は79歳,男性.2021年3月に,前庭部胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した.術後病理検査結果は,T4a,INFc,Ly1c,V1b,N0,pStage IIbであった.術後補助化学療法としてTS-1 (100mg/day)を導入したが,11カ月目に帯状疱疹を発症し,途中で中止となった.術後2年5カ月目の腹部造影CTで造影効果を伴う虫垂腫瘍を認め,腹腔鏡下虫垂切除を施行した.腹腔内を観察すると,明らかな播種性病変などは認めず,虫垂切除のみを施行した.術後病理検査結果は,組織学的に既往の胃癌と類似した構造を呈する腺癌を認めた.免疫染色を追加すると,双方ともCK(+),CK20(-),CD...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 12; pp. 1681 - 1684
Main Authors 照屋, 淳, 赤松, 道成, 木村, 研吾, 宮平, 礼, 中村, 陽二, 荒木, 謙太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1681

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Summary:症例は79歳,男性.2021年3月に,前庭部胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した.術後病理検査結果は,T4a,INFc,Ly1c,V1b,N0,pStage IIbであった.術後補助化学療法としてTS-1 (100mg/day)を導入したが,11カ月目に帯状疱疹を発症し,途中で中止となった.術後2年5カ月目の腹部造影CTで造影効果を伴う虫垂腫瘍を認め,腹腔鏡下虫垂切除を施行した.腹腔内を観察すると,明らかな播種性病変などは認めず,虫垂切除のみを施行した.術後病理検査結果は,組織学的に既往の胃癌と類似した構造を呈する腺癌を認めた.免疫染色を追加すると,双方ともCK(+),CK20(-),CDX2(+),MUC6(+),HER2(-)と同様の染色態度を示し形態的にも類似していることから,胃癌の虫垂転移と診断した.術後はG-SOX+ニボルマブを施行し,虫垂切除8カ月無再発生存中である.胃癌虫垂転移は比較的稀な疾患であり,本邦報告例は16例のみであったため,自件例を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1681