急速に進行したBacillus Cereusによる肺化膿症・膿胸が掻爬術と肺葉切除で軽快した1例

症例:85歳男性.脱力を主訴に救急搬送され,脱水と胸部CTで右肺下葉に肺炎像を認め補液と抗菌薬による加療を開始した.第11病日に右胸水と右肺下葉に空洞影が出現し,胸水検査でグラム陽性桿菌の増殖を認め,第18病日にBacillus Cereusが検出された.胸腔ドレナージを行うも症状が改善せず,第20病日に開胸下右膿胸腔掻爬術および右下葉切除術を施行した.術中所見で右肺下葉は広範に壊死しておりB. Cereusによる肺化膿症に伴った急性膿胸と診断した.B. cereusは環境に広く分布する芽胞形成性のグラム陽性桿菌で,しばしば食中毒の原因となる.組織破壊性外毒素を産生し,肺炎を起こした場合重症化...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 1; pp. 45 - 49
Main Authors 植山, 篤, 木下, 広敬, 小松, 弘明, 高木, 康裕, 古河, 奈央, 岡部, 和倫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.01.2025
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.39.45

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Summary:症例:85歳男性.脱力を主訴に救急搬送され,脱水と胸部CTで右肺下葉に肺炎像を認め補液と抗菌薬による加療を開始した.第11病日に右胸水と右肺下葉に空洞影が出現し,胸水検査でグラム陽性桿菌の増殖を認め,第18病日にBacillus Cereusが検出された.胸腔ドレナージを行うも症状が改善せず,第20病日に開胸下右膿胸腔掻爬術および右下葉切除術を施行した.術中所見で右肺下葉は広範に壊死しておりB. Cereusによる肺化膿症に伴った急性膿胸と診断した.B. cereusは環境に広く分布する芽胞形成性のグラム陽性桿菌で,しばしば食中毒の原因となる.組織破壊性外毒素を産生し,肺炎を起こした場合重症化しやすいことが知られている.今回,右下葉肺炎に対し抗菌薬加療を行うも,2週間の経過で右下葉の肺化膿症および急性膿胸を来し右下葉切除と掻爬術で軽快した症例を経験したため報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.39.45