未成年野球選手に発症した肘部管症候群に対する尺骨神経皮下前方移動術の治療成績

肘部管症候群に対して尺骨神経皮下前方移動術のみを行い,3か月以上経過観察し得た10代の野球選手16例を対象とした.16例中12例が臨床所見から肘関節内側側副靭帯(以下MCL)損傷の併発と診断した.全例に尺骨神経皮下前方移動術を行った.投球は術後約1か月で開始し15例(94%)は野球に復帰した.13例(81%)は術後平均4(2-6)か月で完全に復帰した.MCL損傷を認めた12例のうち9例(75%)と,MCL損傷を認めなかった4例全例が,いずれも術後平均4か月で野球に完全復帰した.復帰不能の1例と不完全復帰の1例は,それぞれ術後3か月と10か月にMCL再建を行った.野球少年の肘部管症候群に対する尺...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 351 - 356
Main Authors 高木, 理彰, 高原, 政利, 佐竹, 寛史, 澁谷, 純一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2023
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.30.2_351

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Summary:肘部管症候群に対して尺骨神経皮下前方移動術のみを行い,3か月以上経過観察し得た10代の野球選手16例を対象とした.16例中12例が臨床所見から肘関節内側側副靭帯(以下MCL)損傷の併発と診断した.全例に尺骨神経皮下前方移動術を行った.投球は術後約1か月で開始し15例(94%)は野球に復帰した.13例(81%)は術後平均4(2-6)か月で完全に復帰した.MCL損傷を認めた12例のうち9例(75%)と,MCL損傷を認めなかった4例全例が,いずれも術後平均4か月で野球に完全復帰した.復帰不能の1例と不完全復帰の1例は,それぞれ術後3か月と10か月にMCL再建を行った.野球少年の肘部管症候群に対する尺骨神経皮下前方移動術は,症状改善や野球復帰において有用であり,軽度のMCL損傷があっても尺骨神経に対する手術のみでおよそ3/4の症例で完全復帰が期待できるが,靭帯再建を必要とする例も散見される.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.30.2_351