二次予防対象女性高齢者における質問紙Motor Fitness Scaleによる運動機能評価とPhase Angleとの関連

【はじめに、目的】生体電気インピーダンス法 (bioelectrical impedance analysis: BIA)を用いた研究は,近年多く見受けられる.レジスタンスとリアクタンスに応じた電流と電圧の位相差 (phase angle: PhA)は,細胞の健常性や栄養状態の指標に用い られる.質問紙による評価は主観的ではあるが、簡便であり被験者への負担が少ない. Motor Fitness Scale (MFS)は,移動性,筋力,平衡性の3つカテゴリーで評価され,要介護発生リスクとの関連性があると言われている.しかし,PhAと質問紙による運動機能評価との関連性の報告は少ない.研究の目的は,...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 146
Main Authors 渡部, 美聡, 相澤, 裕矢, 鈴木, 崇広, 星, 真行, 小下, 弘嗣, 渡部, 崇久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2025
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_146

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Summary:【はじめに、目的】生体電気インピーダンス法 (bioelectrical impedance analysis: BIA)を用いた研究は,近年多く見受けられる.レジスタンスとリアクタンスに応じた電流と電圧の位相差 (phase angle: PhA)は,細胞の健常性や栄養状態の指標に用い られる.質問紙による評価は主観的ではあるが、簡便であり被験者への負担が少ない. Motor Fitness Scale (MFS)は,移動性,筋力,平衡性の3つカテゴリーで評価され,要介護発生リスクとの関連性があると言われている.しかし,PhAと質問紙による運動機能評価との関連性の報告は少ない.研究の目的は,二次予防対象女性高齢者において,質問紙MFSによる運動機能評価とPhAとの関連性について検討することである.【方法】対象は二次予防対象高齢者67名であり,要介護認定を受けた者と男性を除外した36名 (平均年齢79.3±5.9歳)を解析対象とした.測定項目は,質問紙による運動機能評価はMFSを用い,パフォーマンステストとして,移動性は10m最大歩行時間とTimed Up and Go test (TUG),筋力は握力と膝伸展筋力,平衡性はファンクショナルリーチと開眼片脚立位時間を測定した.PhAの測定にはBIA法による体成分分析装置 (InBody S10)を用いて計測した.統計解析は, PhA>4.35°を高PhA群, PhA≦4.35°を低PhA群に層別化した.群間比較ではMFSの総合点数と移動性,筋力,平衡性のカテゴリー別の合計点数,各パフォーマンステストにMann-Whitney’s U`検定を用い,有意水準は5%とした.【結果】MFSの移動性のカテゴリーにおいて,高PhA群で有意に得点が高いことが認められた (p<0.01).パフォーマンステストでは,最大歩行速度 (p<0.01)とTUG (p<0.01)に有意差が認められ,高Pha群で移動性が高いことを示した.他パフォーマンステストやMFSの総合点数及び筋力,平衡性には有意差は認められなかった.【考察】二次予防対象女性高齢者において,高PhA群はMFSの移動性のカテゴリーの得点が高く,パフォーマンステストも最大歩行速度やTUGで高PhA群の移動性が有意に高かった. PhAは細胞の健常性を反映するとされ,移動機能はADLや身体活動性に関連しやすく,PhAとの関連性がみられたものと考えられる.MFSによる運動機能評価は簡便で身体測定や機器を必要とせず,PhAとの関連ではパフォーマンステストと同等の結果となった.質問紙MFSによる移動性の評価は,PhAとの関連があることが示唆された.【倫理的配慮】対象には書面,口頭において十分に説明を行い,同意を得た.なお本研究は,公立高畠病院倫理委員会 (承認番 号2023-1)の承認を得た.
Bibliography:P - 48
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_146