宮城県牧の崎スギ天然林の林分構造

宮城県石巻市の牧の崎スギ天然林は本州で唯一,太平洋岸に分布しているスギ天然林である。積雪がほぼ見られず, 秋田などとは異なる環境下に成立している。林分構造を調査し,他のスギ天然林と比較するため,2017年に尾根の近くに調査区 1,谷に調査区2を設定し,胸高直径,立木位置の測定を行った。主要樹種はスギ,モミで尾根にはヒサカキの小径木が多く見られた。スギの立木密度は調査区1で 169 本ha−1,調査区2では 133 本ha−1,スギの最大直径はそれぞれ 120cm,93cm,スギの最大樹高は 25m,30mであり,他のスギ天然林より樹齢が若い個体が多いとみられることを考慮しても,樹高が低い傾向に...

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Published in東北森林科学会誌 Vol. 26; no. 1; pp. 20 - 26
Main Authors 齋藤, 智之, 太田, 敬之, 野口, 麻穂子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東北森林科学会 31.03.2021
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ISSN1342-1336
2424-1385
DOI10.18982/tjfs.26.1_20

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Summary:宮城県石巻市の牧の崎スギ天然林は本州で唯一,太平洋岸に分布しているスギ天然林である。積雪がほぼ見られず, 秋田などとは異なる環境下に成立している。林分構造を調査し,他のスギ天然林と比較するため,2017年に尾根の近くに調査区 1,谷に調査区2を設定し,胸高直径,立木位置の測定を行った。主要樹種はスギ,モミで尾根にはヒサカキの小径木が多く見られた。スギの立木密度は調査区1で 169 本ha−1,調査区2では 133 本ha−1,スギの最大直径はそれぞれ 120cm,93cm,スギの最大樹高は 25m,30mであり,他のスギ天然林より樹齢が若い個体が多いとみられることを考慮しても,樹高が低い傾向にあった。調査林分およびその近辺ではスギの風倒被害,アカマツの大幅な 減少,シカ食害によるスギ幼樹の減少が見られ,保護のための施策が必要と考えられた。
ISSN:1342-1336
2424-1385
DOI:10.18982/tjfs.26.1_20