肌内部からの輝きを再現するメーク料の開発

真珠や貝殻は積層規則性構造由来の,美しい輝きをもつ。これに着目して,肌における「肌内部からの輝き」と,角層の積層規則性構造の関係を調査した。ヒトの肌で,官能評価,角層の積層規則性評価,散乱光比率測定を行った結果,肌内部からの輝きと,角層の積層規則性,および,肌の散乱光比率には,関連性があることが確認できた。次に,肌内部からの輝きを再現する新しい化粧料の開発に着手した。まず,角層の積層規則性構造に着目して,新粉体の開発を行った。角層同様,異なる屈折率をもつ2つの物質が交互に積層した規則性構造をもつ粉体を試作し,散乱光比率を測定した。汎用されている市販の積層構造粉体の散乱光比率は,不規則な角層積層...

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Published in日本化粧品技術者会誌 Vol. 47; no. 1; pp. 26 - 32
Main Authors 西川, 正一郎, 浅海, 千明, 飯田, 昌枝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本化粧品技術者会 2013
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ISSN0387-5253
1884-4146
DOI10.5107/sccj.47.26

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Summary:真珠や貝殻は積層規則性構造由来の,美しい輝きをもつ。これに着目して,肌における「肌内部からの輝き」と,角層の積層規則性構造の関係を調査した。ヒトの肌で,官能評価,角層の積層規則性評価,散乱光比率測定を行った結果,肌内部からの輝きと,角層の積層規則性,および,肌の散乱光比率には,関連性があることが確認できた。次に,肌内部からの輝きを再現する新しい化粧料の開発に着手した。まず,角層の積層規則性構造に着目して,新粉体の開発を行った。角層同様,異なる屈折率をもつ2つの物質が交互に積層した規則性構造をもつ粉体を試作し,散乱光比率を測定した。汎用されている市販の積層構造粉体の散乱光比率は,不規則な角層積層構造をもつ肌よりも低い値であったのに対し,新粉体の散乱光比率は,規則的な角層をもつ肌よりも高い値となった。次に,この新粉体を配合したファンデーションを試作し,女性被験者の肌に塗布した。結果,試作ファンデーションは,肌内部からの輝きを再現する効果が高いことが確認できた。
ISSN:0387-5253
1884-4146
DOI:10.5107/sccj.47.26