岩手県における乾シイタケの害虫,コクガの発生消長

コクガの被害対策の基礎資料とするため,発生時期を調査した。コクガに産卵された乾シイタケをポリカップに入れ,岩手県内陸中部の温度調節されていない作業小屋内に置き,発生する成虫の頭数を5〜10日ごとに数えた。年2回の発生がみられ,1回目の発生は5月上中旬から始まり6月頃にピークを迎え,2回目の発生は7〜8 月に始まり8〜9月にピークを迎えた。産卵期間中央日と発生期間中央日の間について,コクガの発育零点である 10.5°C以上の積算温 度を求めると,夏産卵〜春発生の間が751〜1046日度,春産卵〜夏発生の間が874〜1075日度であり,既報の卵から羽化までの有効積算温度 (961.7日度) に近い...

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Published in東北森林科学会誌 Vol. 26; no. 2; pp. 45 - 48
Main Author 髙橋, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東北森林科学会 31.10.2021
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ISSN1342-1336
2424-1385
DOI10.18982/tjfs.26.2_45

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Summary:コクガの被害対策の基礎資料とするため,発生時期を調査した。コクガに産卵された乾シイタケをポリカップに入れ,岩手県内陸中部の温度調節されていない作業小屋内に置き,発生する成虫の頭数を5〜10日ごとに数えた。年2回の発生がみられ,1回目の発生は5月上中旬から始まり6月頃にピークを迎え,2回目の発生は7〜8 月に始まり8〜9月にピークを迎えた。産卵期間中央日と発生期間中央日の間について,コクガの発育零点である 10.5°C以上の積算温 度を求めると,夏産卵〜春発生の間が751〜1046日度,春産卵〜夏発生の間が874〜1075日度であり,既報の卵から羽化までの有効積算温度 (961.7日度) に近い値であった。調査場所の1年間の10.5°C以上の積算温度は1854日度 (2018年) であり,温度環境からみた岩手県内陸部の発生可能回数は年2回以下と考えられた。
ISSN:1342-1336
2424-1385
DOI:10.18982/tjfs.26.2_45