組織間コストマネジメント研究の展開

本稿の目的は,日本企業を中心としたサプライチェーンの変化を踏まえ,約20年になる組織間コストマネジメント研究の知見を整理し,将来の研究課題を析出することである.組織間コストマネジメントは,はじめは日本企業のサプライヤーとバイヤーの関係にみられる原価企画の技法として理解された.しかし現在,多くの研究は,組織間コントロールと関連づけて議論している.先行研究は,組織間コストマネジメントを戦略的コストマネジメントとして位置づけ,コストドライバーに依拠して構造的あるいは遂行的なコストマネジメントに分類している.他方,最近の日本企業のサプライチェーンのグローバル化,複雑化,そしてサプライヤー管理の見直しと...

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Published in管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 123 - 140
Main Author 窪田, 祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本管理会計学会 01.05.2012
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ISSN0918-7863
2434-0529
DOI10.24747/jma.20.2_123

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Summary:本稿の目的は,日本企業を中心としたサプライチェーンの変化を踏まえ,約20年になる組織間コストマネジメント研究の知見を整理し,将来の研究課題を析出することである.組織間コストマネジメントは,はじめは日本企業のサプライヤーとバイヤーの関係にみられる原価企画の技法として理解された.しかし現在,多くの研究は,組織間コントロールと関連づけて議論している.先行研究は,組織間コストマネジメントを戦略的コストマネジメントとして位置づけ,コストドライバーに依拠して構造的あるいは遂行的なコストマネジメントに分類している.他方,最近の日本企業のサプライチェーンのグローバル化,複雑化,そしてサプライヤー管理の見直しという動きは,組織間コストマネジメントに変化ないし拡張をもたらしている.これらの動向から,本稿では,組織間コストマネジメントにおけるコストの範囲,時間軸,そして学習・能力などの研究課題を提示する.
ISSN:0918-7863
2434-0529
DOI:10.24747/jma.20.2_123