初めて盲ろう児の教育に携わる盲学校教師の直面する困難とその解決プロセスに関する質的研究

本研究は、盲学校教師が初めて盲ろう児を担当する際に直面する困難と、それらの解決プロセスを検討した。盲ろう教育の専門性を有する教師7名に、初めて担当した際に直面した困難と解決の契機を聴取し、困難解決プロセスを作成した。その結果、教師はコミュニケーション・実態把握・指導の3つの困難に直面しており、いずれも最初にコミュニケーションの困難を解決していた。また、コミュニケーションの困難を解決する際に要する時間によって、①長期解決型、②短期解決型が見出された。このうち②は指導時の環境や担当盲ろう児の年齢によって遊戯的コミュニケーションパターン、共同解決パターンに分岐した。その一方で、コミュニケーションの困...

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Published in障害科学研究 Vol. 49; no. 1; pp. 81 - 93
Main Authors 柴田 剛, 相羽 大輔, 小林 秀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 障害科学学会 31.03.2025
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ISSN1881-5812
2432-0714
DOI10.20847/adsj.49.1_81

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Summary:本研究は、盲学校教師が初めて盲ろう児を担当する際に直面する困難と、それらの解決プロセスを検討した。盲ろう教育の専門性を有する教師7名に、初めて担当した際に直面した困難と解決の契機を聴取し、困難解決プロセスを作成した。その結果、教師はコミュニケーション・実態把握・指導の3つの困難に直面しており、いずれも最初にコミュニケーションの困難を解決していた。また、コミュニケーションの困難を解決する際に要する時間によって、①長期解決型、②短期解決型が見出された。このうち②は指導時の環境や担当盲ろう児の年齢によって遊戯的コミュニケーションパターン、共同解決パターンに分岐した。その一方で、コミュニケーションの困難が解決されたとしても、実態把握と指導の困難は生起し続けていた。以上より、初めて盲ろう児を担当する盲学校教師は、複数ある困難の中でも優先的にコミュニケーションの困難を解決する必要性が示唆された。
ISSN:1881-5812
2432-0714
DOI:10.20847/adsj.49.1_81