農産物中残留農薬分析における,同一前処理後のGC-MS/MSおよびLC-MS/MSでの妥当性評価の比較

食品中の残留農薬分析において,ある農薬の定量値が正しいかどうかを確認するため,異なる機器を使用して定量値の確認を行うことがしばしばあるが,それぞれの機器の値が完全に一致することは珍しい.本研究では,食品毎にどの程度違いがあるかを比較するため,当研究室の日常検査法を用い,121成分,6種類(グレープフルーツ,ばれいしょ,パプリカ,キャベツ,ほうれんそう,玄米)の食品について,GC-MS/MSおよびLC-MS/MSそれぞれの機器で妥当性評価を実施し,その結果を主に真度に着目して比較した.その結果,GC-MS/MSでは,上述の食品において97,111,110,118,111,63成分が基準に適合した...

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Published in食品衛生学雑誌 Vol. 61; no. 4; pp. 154 - 160
Main Authors 富澤, 早苗, 中島, 崇行, 吉川, 聡一, 大澤, 佳浩, 八巻, ゆみこ, 小鍛治, 好恵, 大塚, 健治, 増渕, 珠子, 橋本, 常生, 上條, 恭子, 髙田, 朋美, 渡邊, 趣衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本食品衛生学会 25.08.2020
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ISSN0015-6426
1882-1006
DOI10.3358/shokueishi.61.154

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Summary:食品中の残留農薬分析において,ある農薬の定量値が正しいかどうかを確認するため,異なる機器を使用して定量値の確認を行うことがしばしばあるが,それぞれの機器の値が完全に一致することは珍しい.本研究では,食品毎にどの程度違いがあるかを比較するため,当研究室の日常検査法を用い,121成分,6種類(グレープフルーツ,ばれいしょ,パプリカ,キャベツ,ほうれんそう,玄米)の食品について,GC-MS/MSおよびLC-MS/MSそれぞれの機器で妥当性評価を実施し,その結果を主に真度に着目して比較した.その結果,GC-MS/MSでは,上述の食品において97,111,110,118,111,63成分が基準に適合した.一方LC-MS/MSでは,50,114,103,112,100,103成分が基準に適合した.これら両機器の結果の差は,主にマトリクス効果によるものだと考えられ,マトリクス効果の補正によりそれぞれの真度は近似した.しかし真度の一致度については食品試料による差が大きく,特に玄米ではマトリクス効果を補正しても両機器の真度の差は20%以上であった.
ISSN:0015-6426
1882-1006
DOI:10.3358/shokueishi.61.154