乳癌肺転移との鑑別が困難であったIgG4関連呼吸器疾患の1例

症例は52歳,女性.2016年に左乳癌(pT2N0M0,Stage II)に対して乳房切除術を施行後,経過観察されていた.2022年に行った検診で胸部異常陰影を指摘され,当科を受診した.胸部CTで左肺S8に10mm大の結節影を認めた.CTガイド下生検では診断が得られず,胸腔鏡下左肺生検を行った.病理組織学的には形質細胞とリンパ球浸潤を伴う肉芽組織より構成され,肺炎症性偽腫瘍と診断された.また,IgG4/IgG陽性細胞比が40%であること,術後血清IgG4 138mg/dLと高値であったことより,IgG4関連呼吸器疾患と診断した.術後のPET-CTで他臓器に異常集積はなく,術後6カ月経過観察中で...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 9; pp. 1210 - 1214
Main Authors 水谷, 栄基, 児玉, 真, 阿部, 佳子, 山本, 沙希, 森田, 理一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1210

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Summary:症例は52歳,女性.2016年に左乳癌(pT2N0M0,Stage II)に対して乳房切除術を施行後,経過観察されていた.2022年に行った検診で胸部異常陰影を指摘され,当科を受診した.胸部CTで左肺S8に10mm大の結節影を認めた.CTガイド下生検では診断が得られず,胸腔鏡下左肺生検を行った.病理組織学的には形質細胞とリンパ球浸潤を伴う肉芽組織より構成され,肺炎症性偽腫瘍と診断された.また,IgG4/IgG陽性細胞比が40%であること,術後血清IgG4 138mg/dLと高値であったことより,IgG4関連呼吸器疾患と診断した.術後のPET-CTで他臓器に異常集積はなく,術後6カ月経過観察中である.肺炎症性偽腫瘍は術前診断が困難であり,胸腔鏡下手術は有効な手段であった.肺炎症性偽腫瘍を認めた場合は,IgG4関連呼吸器疾患を念頭に入れる必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1210