卵巣腫瘍が誘因となった子宮広間膜損傷および腹膜内膀胱破裂の一例

患者は64歳の女性で, 自転車で道路横断中に乗用車と衝突し受傷した. 造影CT検査で左卵巣腫瘍の周辺動脈からの造影剤血管外漏出像があり, 尿道カテーテル留置時に肉眼的血尿がみられた. 緊急開腹術を施行し, 腸間膜に裂孔と血腫, 左側子宮広間膜の断裂と同部からの動脈性出血および腹膜内膀胱破裂の所見であった. 子宮広間膜断裂部を含めた左卵巣腫瘍摘出および膀胱修復術を施行した. 術後経過は良好で術後53日目に転院した. 鈍的外力による泌尿生殖器損傷は多くはないが, 自験例では手術所見より卵巣腫瘍に外力が加わることで子宮広間膜に剪断力が発生して断裂し, 更に腫瘍が膀胱を圧排したことで膀胱破裂を来たした...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 33; no. 3; pp. 334 - 337
Main Authors 佐藤, 幸男, 阿野, 正樹, 小林, 健二, 加瀬, 建一, 鯨井, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2019
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.33.334

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Summary:患者は64歳の女性で, 自転車で道路横断中に乗用車と衝突し受傷した. 造影CT検査で左卵巣腫瘍の周辺動脈からの造影剤血管外漏出像があり, 尿道カテーテル留置時に肉眼的血尿がみられた. 緊急開腹術を施行し, 腸間膜に裂孔と血腫, 左側子宮広間膜の断裂と同部からの動脈性出血および腹膜内膀胱破裂の所見であった. 子宮広間膜断裂部を含めた左卵巣腫瘍摘出および膀胱修復術を施行した. 術後経過は良好で術後53日目に転院した. 鈍的外力による泌尿生殖器損傷は多くはないが, 自験例では手術所見より卵巣腫瘍に外力が加わることで子宮広間膜に剪断力が発生して断裂し, 更に腫瘍が膀胱を圧排したことで膀胱破裂を来たしたと考えられた.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.33.334