遠位上腕二頭筋腱部分断裂の1例
症例は58歳男性である.荷物を運搬中に左肘違和感が出現した.数日後,荷物を下ろす際に左肘に轢音を感じて以来,運搬作業時の肘痛,脱力感が続いた.肘関節に可動域制限はなく,肘窩に圧痛を認め,屈曲・回外筋力は低下していた.Hook testは陰性,biceps squeeze testは陽性であった.単純X線画像で橈骨粗面に骨棘を,単純MRIで遠位上腕二頭筋腱周囲に浮腫を認めた.手術時,肘屈側を展開すると,腱は2分されており,後方の腱が橈骨粗面停止部で断裂していた.腱断端をsuture anchorで橈骨粗面に縫着した.術後3か月で原職復帰し,術後2年経過時,屈曲・回外筋力は改善し作業動作に支障はな...
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          | Published in | 日本肘関節学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 31 - 34 | 
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| Main Authors | , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本肘関節学会
    
        2016
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 1349-7324 2434-2262  | 
| DOI | 10.24810/jelbow.23.2_31 | 
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| Summary: | 症例は58歳男性である.荷物を運搬中に左肘違和感が出現した.数日後,荷物を下ろす際に左肘に轢音を感じて以来,運搬作業時の肘痛,脱力感が続いた.肘関節に可動域制限はなく,肘窩に圧痛を認め,屈曲・回外筋力は低下していた.Hook testは陰性,biceps squeeze testは陽性であった.単純X線画像で橈骨粗面に骨棘を,単純MRIで遠位上腕二頭筋腱周囲に浮腫を認めた.手術時,肘屈側を展開すると,腱は2分されており,後方の腱が橈骨粗面停止部で断裂していた.腱断端をsuture anchorで橈骨粗面に縫着した.術後3か月で原職復帰し,術後2年経過時,屈曲・回外筋力は改善し作業動作に支障はない. 遠位上腕二頭筋腱は長頭,短頭に分かれ,それぞれ主に回外,屈曲機能を担うといわれている.腱の緊張が保たれる部分断裂の診断は難渋するが,自験例ではbiceps squeeze testが有用であった. | 
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| ISSN: | 1349-7324 2434-2262  | 
| DOI: | 10.24810/jelbow.23.2_31 |