活動性出血を呈する副腎損傷に対してガーゼパッキングが奏功した多発外傷の1例

活動性出血を伴う副腎損傷に対してガーゼパッキングが奏功した多発外傷例を報告する.症例は21歳,男性.交通外傷で当センター搬送となった.造影CT検査にて肺挫傷と肝損傷,活動性出血を伴う右腎臓損傷と右副腎損傷を認め緊急開腹術を施行した.腎の修復の際に後腹膜腔が開放されたため,後腹膜腔による副腎のパッキング効果が期待できないと判断して肝とともにガーゼによるパッキングを行い,引き続き血管内治療に移行した.大動脈造影では副腎からの出血は認められずガーゼパッキングが有効と判断した.本症例のように,血管内治療に先行して開腹術が行われた場合,ガーゼパッキングは有効な一次止血法と考えられた....

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 28; no. 3; pp. 295 - 298
Main Authors 川井, 廉之, 多田, 祐介, 奥地, 一夫, 岩村, あさみ, 關, 匡彦, 福島, 英賢, 宮崎, 敬太, 北岡, 寬教, 畑, 倫明, 井上, 剛, 則本, 和伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.07.2014
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.28.295

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Summary:活動性出血を伴う副腎損傷に対してガーゼパッキングが奏功した多発外傷例を報告する.症例は21歳,男性.交通外傷で当センター搬送となった.造影CT検査にて肺挫傷と肝損傷,活動性出血を伴う右腎臓損傷と右副腎損傷を認め緊急開腹術を施行した.腎の修復の際に後腹膜腔が開放されたため,後腹膜腔による副腎のパッキング効果が期待できないと判断して肝とともにガーゼによるパッキングを行い,引き続き血管内治療に移行した.大動脈造影では副腎からの出血は認められずガーゼパッキングが有効と判断した.本症例のように,血管内治療に先行して開腹術が行われた場合,ガーゼパッキングは有効な一次止血法と考えられた.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.28.295