腹腔鏡下閉鎖孔ヘルニア門円状周囲剝離法の有用性

閉鎖孔ヘルニアの手術方法に関しては確立された定型的手術はなく,様々な見解がある.われわれの施設では緊急手術に行う腹腔鏡下手術としてヘルニア門円状周囲剝離法を2014年4月より開始し,現在までに待機手術症例も含め25症例を経験した.本術式はヘルニア門周囲を円状に剝離し,直径70mmの円状のMarlex light weight flat meshまたはSelf-Fixating meshをヘルニア門を中心に固定貼付する簡便な方法である.大腿ヘルニアを合併した場合でも,腹側方向への剝離を30mm程度拡大するだけで同様の手術が可能である.腹膜切開から縫合閉鎖までの平均所要時間は30.4分と短時間であ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 85; no. 9; pp. 1176 - 1182
Main Authors 岡屋, 智久, 吉岡, 茂, 若月, 一雄, 太枝, 良夫, 中村, 祐介, 櫻井, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2024
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.85.1176

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Summary:閉鎖孔ヘルニアの手術方法に関しては確立された定型的手術はなく,様々な見解がある.われわれの施設では緊急手術に行う腹腔鏡下手術としてヘルニア門円状周囲剝離法を2014年4月より開始し,現在までに待機手術症例も含め25症例を経験した.本術式はヘルニア門周囲を円状に剝離し,直径70mmの円状のMarlex light weight flat meshまたはSelf-Fixating meshをヘルニア門を中心に固定貼付する簡便な方法である.大腿ヘルニアを合併した場合でも,腹側方向への剝離を30mm程度拡大するだけで同様の手術が可能である.腹膜切開から縫合閉鎖までの平均所要時間は30.4分と短時間であった.術後平均在院日数は4.6日であった.術後合併症はなく再発例も認めなかった.縮小剝離である本術式は,高齢者で腸閉塞を伴う緊急手術や嵌頓解除後の待機手術の両者に対応可能であり,低侵襲性と根治性の面で有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.85.1176