男性肥満者に対する運動プログラムの評価

目的 中年男性肥満者を対象に,それぞれの歩数や体力の評価に基づいた運動処方を行い,一年間の運動プログラムを作成し,作成したプログラムの効果を継続率,ライフスタイルの変化,体力を指標に評価することを目的とした。 方法 対象は BMI 26.4 kg/m2 以上で30歳から59歳の男性61人であった。運動プログラム作成と評価のために,健康関連体力,1 日平均歩数を測定し,生活習慣状況調査,食事調査を行った。それぞれの測定および調査は,運動プログラム前と運動プログラム終了後に実施した。  運動プログラムは,1 年を 4 期に分けて目標設定を行い,その目標設定に応じた運動や講習の内容を作成した。各期の...

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Published in日本公衆衛生雑誌 Vol. 49; no. 10; pp. 1087 - 1096
Main Authors 吉良, 尚平, 藤井, 昌史, 宮武, 伸行, 鈴木, 久雄, 高橋, 香代, 森下, 明恵, 西河, 英隆, 田中, 俊夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本公衆衛生学会 2002
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ISSN0546-1766
2187-8986
DOI10.11236/jph.49.10_1087

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Summary:目的 中年男性肥満者を対象に,それぞれの歩数や体力の評価に基づいた運動処方を行い,一年間の運動プログラムを作成し,作成したプログラムの効果を継続率,ライフスタイルの変化,体力を指標に評価することを目的とした。 方法 対象は BMI 26.4 kg/m2 以上で30歳から59歳の男性61人であった。運動プログラム作成と評価のために,健康関連体力,1 日平均歩数を測定し,生活習慣状況調査,食事調査を行った。それぞれの測定および調査は,運動プログラム前と運動プログラム終了後に実施した。  運動プログラムは,1 年を 4 期に分けて目標設定を行い,その目標設定に応じた運動や講習の内容を作成した。各期の指導目標は,第 1 期「運動による障害を起こさない身体づくり」,第 2 期「日常生活活動量の増加」,第 3 期「運動,スポーツを楽しむ」,第 4 期「自分の運動メニュー作成」とした。運動プログラムでは,週 1 回の定期的運動習慣と,ライフスタイルチェックを用いた活動的な生活習慣の両面から介入を行った。 結果 運動プログラムの継続率は66%で,多忙な中年男性を対象にし,しかも 1 年間という長期にわたる介入としては,非常に高い継続率であった。  1 年間にわたる運動プログラムにおいて実施したライフスタイルチェックでは,「運動に関する肯定的感情」,「生活場面での運動」,「運動習慣」の 3 項目の平均点が前値より 6 か月後で有意に増加し,1 日平均歩数は,約2,000歩弱の増加傾向を認め,本プログラムが日常生活での生活習慣の改善に有効であったことが示唆された。  運動プログラム前後の身体組成の変化は,体重(前81.5±7.4 kg,後78.6±7.3 kg P<0.001),体脂肪率(前30.3±4.1%,後28.4±5.0% P<0.001),ウエスト・ヒップ比(前0.95±0.04,後0.92±0.04 P<0.001)と,いずれの項目も有意な減少を認めた。体力は,全身持久力,筋力の向上を認めた。 結論 本プログラムは,高い継続率,生活習慣の改善,身体組成の改善,体力の向上などの効果をもたらし,中年男性肥満者に対して有効と考えられた。
ISSN:0546-1766
2187-8986
DOI:10.11236/jph.49.10_1087