急激な腹痛にて肝血管腫の自然内出血と診断された1例
40代,女性.生来健康.1カ月程度続く吸気時季肋部痛があり,発熱,炎症反応高値を伴ったため単純CTを施行し,偶発的に肝右葉に12 cmの肝腫瘤を指摘され,高度医療機関に紹介予定であった.夜間,急激な腹痛・背部痛が出現し,造影CTでは肝血管腫自然内出血を認めたため,当院搬送となった.造影CT,ソナゾイド造影エコー検査では腫瘍の辺縁から徐々に造影効果を認め,内部に一部造影されない領域を認めた.造影MRIではT2WIで内部に不均一な低信号域を認め,腫瘍内出血を反映した所見を認めた.腹部血管造影検査では,明らかな肝外漏出像は認めなかった.徐々に解熱し,疼痛もコントロール内であったが持続していたため,1...
Saved in:
Published in | 肝臓 Vol. 66; no. 4; pp. 148 - 155 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.04.2025
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.66.148 |
Cover
Summary: | 40代,女性.生来健康.1カ月程度続く吸気時季肋部痛があり,発熱,炎症反応高値を伴ったため単純CTを施行し,偶発的に肝右葉に12 cmの肝腫瘤を指摘され,高度医療機関に紹介予定であった.夜間,急激な腹痛・背部痛が出現し,造影CTでは肝血管腫自然内出血を認めたため,当院搬送となった.造影CT,ソナゾイド造影エコー検査では腫瘍の辺縁から徐々に造影効果を認め,内部に一部造影されない領域を認めた.造影MRIではT2WIで内部に不均一な低信号域を認め,腫瘍内出血を反映した所見を認めた.腹部血管造影検査では,明らかな肝外漏出像は認めなかった.徐々に解熱し,疼痛もコントロール内であったが持続していたため,13病日に準緊急的に手術を行い,術後経過は良好であった.術前の経カテーテル的動脈塞栓術は施行しなかった.肝血管腫の自然内出血は稀であり,症状が遷延する場合には,適切な時期に手術を検討することが重要である. |
---|---|
ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.66.148 |