骨端線未閉鎖の広範囲遊離期巣外型上腕骨小頭離断性骨軟骨炎に対して鋼線締結法を行った1例

症例:11歳男児,捕手.3ヶ月前から右肘痛が徐々に増悪し,投球困難となり受診.上腕骨小頭に圧痛と肘後方に伸展時痛を認め,屈曲130° ,伸展-30° であった.単純X線とCTで小頭の骨端線は未閉鎖で,外側壁を含む広範囲に不整像と,関節内に直径 15mmの遊離骨軟骨片が確認できた.広範囲遊離期巣外型OCDの診断で手術を選択した.外側アプローチで進入し,関節内に15mm大の遊離体を確認.骨組織の付着はほとんどなく,軟骨の変性はみられなかった.母床部を新鮮化し,0.5mm 軟鋼線を用いて鋼線締結法で強固に固定した.3週間のギプス固定ののち,可動域訓練を開始した.術後4か月で抜釘を行った際,軟骨面に不...

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Published in日本肘関節学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 94 - 96
Main Authors 上原, 大志, 堀切, 健士, 小禄, 純平, 白瀬, 統星
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本肘関節学会 2021
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ISSN1349-7324
2434-2262
DOI10.24810/jelbow.28.2_94

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Summary:症例:11歳男児,捕手.3ヶ月前から右肘痛が徐々に増悪し,投球困難となり受診.上腕骨小頭に圧痛と肘後方に伸展時痛を認め,屈曲130° ,伸展-30° であった.単純X線とCTで小頭の骨端線は未閉鎖で,外側壁を含む広範囲に不整像と,関節内に直径 15mmの遊離骨軟骨片が確認できた.広範囲遊離期巣外型OCDの診断で手術を選択した.外側アプローチで進入し,関節内に15mm大の遊離体を確認.骨組織の付着はほとんどなく,軟骨の変性はみられなかった.母床部を新鮮化し,0.5mm 軟鋼線を用いて鋼線締結法で強固に固定した.3週間のギプス固定ののち,可動域訓練を開始した.術後4か月で抜釘を行った際,軟骨面に不安定性はなく癒合が得られていた.その後投球を再開し初回術後6か月で完全復帰した. 結語:骨端線未閉鎖のOCDにおいて,骨組織に乏しい骨軟骨片であっても鋼線締結法は治療法のひとつとなり得る.
ISSN:1349-7324
2434-2262
DOI:10.24810/jelbow.28.2_94