極性化合物を有する液晶ポリウレタン混合物の相転移と配向挙動

メソゲン骨格(液晶形成原子団)を構造単位として導入したジオールとジイソシアナートとの重付加反応によって得られたポリウレタン(LCPUs)は、いずれもネマチック相を昇降温過程で示した。LCPUsと極性の強い化合物との混合によって得られる二成分液晶は、誘起スメクチックA相を昇降温過程で形成した。スメクチックA相の形成は、ファン組織の観察とX線回折測定による層周期の観測によって明らかになった。等方相からスメクチックA相への降温過程では、暗視野中にバトネが多数現れたのちにファン組織が形成された。スメクチックA相ではX線小角域に層間隔に対応する鋭い反射と、X線広角域には層内での短距離秩序を示すブロードな...

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Published in科学・技術研究 Vol. 11; no. 1; pp. 63 - 66
Main Authors 中川, 翔吾, 氏家, 誠司, 那谷, 雅則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 科学・技術研究会 2022
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ISSN2186-4942
2187-1590
DOI10.11425/sst.11.63

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Summary:メソゲン骨格(液晶形成原子団)を構造単位として導入したジオールとジイソシアナートとの重付加反応によって得られたポリウレタン(LCPUs)は、いずれもネマチック相を昇降温過程で示した。LCPUsと極性の強い化合物との混合によって得られる二成分液晶は、誘起スメクチックA相を昇降温過程で形成した。スメクチックA相の形成は、ファン組織の観察とX線回折測定による層周期の観測によって明らかになった。等方相からスメクチックA相への降温過程では、暗視野中にバトネが多数現れたのちにファン組織が形成された。スメクチックA相ではX線小角域に層間隔に対応する鋭い反射と、X線広角域には層内での短距離秩序を示すブロードな反射が観測された。一方、極性の小さな化合物はLCPUsと混和しにくく、混和しても二成分液晶はスメクチック相を誘起しなかったことから、LCPUsの配向性改善のためには極性の強い化合物の混合が有用であることが明らかになった。以上の結果から、比較的極性の弱いLCPUsのメソゲン基とシアノ基やニトロ基などの強い極性基をもつ化合物との相互作用を利用することによって、配向構造を制御できることが明らかになった。
ISSN:2186-4942
2187-1590
DOI:10.11425/sst.11.63