アントレプレナーシップを発揚する経営管理システムのデザイン試論―リスクと不確実性に対する中小企業経営者の活動様式をもとに

本稿は,あらたな事業機会を見出して事業を立ち上げるような企業家的経営者の行動を分析するフレームワークをもとに,戦略的不確実性が高い状況下での経営管理システム(Management Control System; MCS)の活用について論じる.具体的には,Knight (1921)によるリスクと不確実性についての概念を援用し,企業家が直面する不確実性に対応するMCSのデザインがいかにあるかを探求する.MCSは,予測可能な未来に対する計画(Causation)と不確実性下での意思決定(Effectuation)の両方をサポートするものである.それは,飛田(2021)で示したMCSを通じて経営者が現...

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Published in管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 43 - 60
Main Author 飛田, 努
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本管理会計学会 28.03.2024
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ISSN0918-7863
2434-0529
DOI10.24747/jma.32.2_43

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Summary:本稿は,あらたな事業機会を見出して事業を立ち上げるような企業家的経営者の行動を分析するフレームワークをもとに,戦略的不確実性が高い状況下での経営管理システム(Management Control System; MCS)の活用について論じる.具体的には,Knight (1921)によるリスクと不確実性についての概念を援用し,企業家が直面する不確実性に対応するMCSのデザインがいかにあるかを探求する.MCSは,予測可能な未来に対する計画(Causation)と不確実性下での意思決定(Effectuation)の両方をサポートするものである.それは,飛田(2021)で示したMCSを通じて経営者が現在の会社と理想の会社とのギャップを認識し,それを埋めるためのシステムデザインを試論的に検討するものでもある.これにより,企業家はMCSを用いてリスクを評価し,事業機会を定義し,経営戦略を策定することで,長期的な判断やアントレプレナーシップを発揚する手段としてMCSを活用するとのモデルを仮説的に提示する.
ISSN:0918-7863
2434-0529
DOI:10.24747/jma.32.2_43