外耳道閉鎖術による難治性耳炎症性疾患の治療 当科で外耳道閉鎖術を施行した11名11耳の臨床的検討

当科で外耳道閉鎖術を施行した11名11耳について手術を必要とした病態、手術の目的、及び術後経過を検討した。 この手術を必要とした病態としては中耳真珠腫の術後耳 (8耳) が最も多く、その目的では真珠腫の再形成予防 (7耳) が最も多かった。患側耳の術前聴力は70~90dBが2耳、90dB以上が8耳で、精神発達遅滞のため純音聴力検査を施行できなかったものが1耳であった。術後は11耳すべて乾燥耳となり、手術による術側耳聴力の悪化の自覚あるいは、それによる不自由の訴えはなかった。鼓膜・外耳道皮膚の陥凹や癒着により、難治性の感染・耳漏や処置困難なdebrisの堆積などをきたしている例で、聴力改善が期待...

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Published inOtology Japan Vol. 23; no. 5; pp. 827 - 833
Main Authors 篠原, 尚吾, 山崎, 博司, 十名, 理紗, 内藤, 泰, 岸本, 逸平, 藤原, 敬三, 原田, 博之, 菊地, 正弘, 金沢, 佑治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳科学会 25.12.2013
日本耳科学会
Subjects
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ISSN0917-2025
1884-1457
DOI10.11289/otoljpn.23.827

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Summary:当科で外耳道閉鎖術を施行した11名11耳について手術を必要とした病態、手術の目的、及び術後経過を検討した。 この手術を必要とした病態としては中耳真珠腫の術後耳 (8耳) が最も多く、その目的では真珠腫の再形成予防 (7耳) が最も多かった。患側耳の術前聴力は70~90dBが2耳、90dB以上が8耳で、精神発達遅滞のため純音聴力検査を施行できなかったものが1耳であった。術後は11耳すべて乾燥耳となり、手術による術側耳聴力の悪化の自覚あるいは、それによる不自由の訴えはなかった。鼓膜・外耳道皮膚の陥凹や癒着により、難治性の感染・耳漏や処置困難なdebrisの堆積などをきたしている例で、聴力改善が期待できない場合に、外耳道閉鎖術が選択肢の一つになる。本術式により、病変を制御し、術後管理が容易になり、患者の満足も得られる可能性がある。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.23.827