閉鎖孔ヘルニア嵌頓による穿孔性腹膜炎の1例

症例は92 歳女性.食思不振を主訴に入院となった.入院後は腹部所見に異常なく,輸液による加療を施行していたが,入院第3 病日に急激な血圧低下を認めショック状態となった.緊急の腹部骨盤CT 検査にて,腹腔内遊離ガス像と左閉鎖孔内への腸管脱出像を認めたため,左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による穿孔性腹膜炎の診断で緊急開腹術を行った.手術所見では,左閉鎖孔に小腸が嵌頓し,陥頓部位近傍の口側腸管に穿孔を認めた.また,右側の閉鎖孔も開大していた.閉鎖孔に陥頓した小腸は,牽引法にて整復し,穿孔部の小腸部分切除術を施行した.また,両側の閉鎖孔は単純縫合にて閉鎖した.閉鎖孔ヘルニアは,高齢女性に多く発症し,穿孔性腹膜炎...

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Published in日大医学雑誌 Vol. 74; no. 3; pp. 109 - 112
Main Authors 三松, 謙司, 西村, 嵩, 吹野, 信忠, 木田, 和利, 久保井, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大学医学会 01.06.2015
Subjects
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ISSN0029-0424
1884-0779
DOI10.4264/numa.74.109

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Summary:症例は92 歳女性.食思不振を主訴に入院となった.入院後は腹部所見に異常なく,輸液による加療を施行していたが,入院第3 病日に急激な血圧低下を認めショック状態となった.緊急の腹部骨盤CT 検査にて,腹腔内遊離ガス像と左閉鎖孔内への腸管脱出像を認めたため,左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による穿孔性腹膜炎の診断で緊急開腹術を行った.手術所見では,左閉鎖孔に小腸が嵌頓し,陥頓部位近傍の口側腸管に穿孔を認めた.また,右側の閉鎖孔も開大していた.閉鎖孔に陥頓した小腸は,牽引法にて整復し,穿孔部の小腸部分切除術を施行した.また,両側の閉鎖孔は単純縫合にて閉鎖した.閉鎖孔ヘルニアは,高齢女性に多く発症し,穿孔性腹膜炎を伴う閉鎖孔ヘルニアでは致死率が高いと報告されている.穿孔性腹膜炎を伴う閉鎖孔ヘルニアの予後改善には,腹部骨盤CT 検査による見落としのない早期診断が重要であると考えられた.
ISSN:0029-0424
1884-0779
DOI:10.4264/numa.74.109