ビスホスホネート製剤が原因と考えられた外耳道真珠腫症例の検討
ビスホスホネート製剤(以下、BP 製剤)の重大な副作用として外耳道骨壊死・外耳道真珠腫が知られているが、症例報告数はいまだに少ない。BP 製剤は強力な骨吸収抑制作用を有しており、骨粗鬆症や骨転移を有する癌患者に対する第一選択薬であるため、高齢化著しい本邦では今後ますます BP 製剤使用者は増加すると予想される。今回、われわれは BP 製剤が原因と考えられる外耳道真珠腫 10 例を経験した。また、本症例と渉猟し得た既報告 19 例との臨床的な進展度分類による比較検討を行ったが、両報告共に多くは高齢女性に発症し、いずれも長期間にわたり BP 製剤を使用していた。進展度と投与期間は逆の相関を示してお...
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| Published in | 耳鼻と臨床 Vol. 67; no. 6; pp. 352 - 360 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
耳鼻と臨床会
20.11.2021
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0447-7227 2185-1034 |
| DOI | 10.11334/jibi.67.6_352 |
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| Summary: | ビスホスホネート製剤(以下、BP 製剤)の重大な副作用として外耳道骨壊死・外耳道真珠腫が知られているが、症例報告数はいまだに少ない。BP 製剤は強力な骨吸収抑制作用を有しており、骨粗鬆症や骨転移を有する癌患者に対する第一選択薬であるため、高齢化著しい本邦では今後ますます BP 製剤使用者は増加すると予想される。今回、われわれは BP 製剤が原因と考えられる外耳道真珠腫 10 例を経験した。また、本症例と渉猟し得た既報告 19 例との臨床的な進展度分類による比較検討を行ったが、両報告共に多くは高齢女性に発症し、いずれも長期間にわたり BP 製剤を使用していた。進展度と投与期間は逆の相関を示しており、投与期間が長くても必ずしも病状が進行するとは限らないことが分かった。進展度に関係なく、片側発症例が多く、外耳道下壁から前下壁に好発する傾向があった。本症例は全例、局所処置のみで上皮化を得たが、既報告例では治療別や進展度別にみた治療後経過は一定ではなかった。今後、症例数の蓄積により診療方針が定まるのを期待したいが、現時点では BP 製剤使用の有無の確認を怠らずに、外耳道真珠腫・骨壊死の早期発見に努め、必要に応じて整形外科や内科と連携し治療方針を検討することが重要である。 |
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| ISSN: | 0447-7227 2185-1034 |
| DOI: | 10.11334/jibi.67.6_352 |