健常人の唾液嚥下時における脳活動 − functional MRI を用いた検討

嚥下運動に関する神経機構には、延髄を中心とした嚥下反射、即ち下位の嚥下神経機構とそれを上位より支える神経機構が存在する。下位における嚥下の機能解剖は解明が進んでいるが、より上位からの嚥下のコントロールについてはいまだ不明の点が多い。近年神経活動に伴う脳活動を客観的かつ低侵襲に計測することが可能となっており、われわれは functional MRI(fMRI)を用いて健常人 6 例について唾液嚥下時の神経活動に伴う脳賦活部位を検討した。Sparse sampling 法を用いて実験を行い、感覚運動野、運動前野、補足運動野、大脳基底核、視床、前帯状回、島回、小脳などの領域で脳賦活を認めた。これらの...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 62; no. 5; pp. 151 - 158
Main Authors 喜瀬, 乗基, 喜友名, 朝則, 平塚, 宗久, 又吉, 宣, 鈴木, 幹男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.09.2016
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.62.5_151

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Summary:嚥下運動に関する神経機構には、延髄を中心とした嚥下反射、即ち下位の嚥下神経機構とそれを上位より支える神経機構が存在する。下位における嚥下の機能解剖は解明が進んでいるが、より上位からの嚥下のコントロールについてはいまだ不明の点が多い。近年神経活動に伴う脳活動を客観的かつ低侵襲に計測することが可能となっており、われわれは functional MRI(fMRI)を用いて健常人 6 例について唾液嚥下時の神経活動に伴う脳賦活部位を検討した。Sparse sampling 法を用いて実験を行い、感覚運動野、運動前野、補足運動野、大脳基底核、視床、前帯状回、島回、小脳などの領域で脳賦活を認めた。これらの広範な神経ネットワークが相互に関与することで、複雑な嚥下運動を上位中枢でコントロールしているものと考えられた。fMRI のような非侵襲的な脳機能画像による研究はこれらの嚥下神経機構ネットワークのつながりをさらに解明できる可能性があり、今後さらに研究を進めていく必要があると考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.62.5_151