短腸症候群の患児に対する経口用ω3系脂肪酸製剤の使用経験
経口用ω3系脂肪酸製剤EPA1100 ®を使用した短腸症候群の1例を経験した.症例は24生日に,中腸軸捻転のため回盲部を含めた広範囲腸管切除となり,空腸と上行結腸で人工肛門造設を行い,残存小腸は20 cmとなった.術後15日目からEPA1100 ®を開始され,生後4カ月で当院へ転院となった.生後6カ月に人工肛門閉鎖術を施行後は徐々に経腸栄養が進み,生後1歳2カ月で中心静脈栄養を離脱し,1歳9カ月で退院した.経過中,ビリルビン値は正常で推移し,肝逸脱酵素の軽度上昇はあったが,現在は正常値を維持している.血中脂肪酸分画では,EPA,DHA値はEPA1100 ®投与量に依存して増減した.本製剤投与時...
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Published in | 外科と代謝・栄養 Vol. 59; no. 2; pp. 61 - 65 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本外科代謝栄養学会
15.04.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0389-5564 2187-5154 |
DOI | 10.11638/jssmn.59.2_61 |
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Summary: | 経口用ω3系脂肪酸製剤EPA1100 ®を使用した短腸症候群の1例を経験した.症例は24生日に,中腸軸捻転のため回盲部を含めた広範囲腸管切除となり,空腸と上行結腸で人工肛門造設を行い,残存小腸は20 cmとなった.術後15日目からEPA1100 ®を開始され,生後4カ月で当院へ転院となった.生後6カ月に人工肛門閉鎖術を施行後は徐々に経腸栄養が進み,生後1歳2カ月で中心静脈栄養を離脱し,1歳9カ月で退院した.経過中,ビリルビン値は正常で推移し,肝逸脱酵素の軽度上昇はあったが,現在は正常値を維持している.血中脂肪酸分画では,EPA,DHA値はEPA1100 ®投与量に依存して増減した.本製剤投与時にT/T比が高値のときがあり,大豆由来脂肪乳剤の静注を行った.本例は,IFALDに陥ることなく栄養管理が可能であったが,術後早期からの血中脂肪酸分画のモニタリングによる脂肪酸投与の調整が重要である. |
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ISSN: | 0389-5564 2187-5154 |
DOI: | 10.11638/jssmn.59.2_61 |