導入化学療法およびセツキシマブ併用放射線療法による腫瘍消失後に生じた咽頭粘膜壊死を契機に内頸動脈から出血を来した局所進行中咽頭癌の 1 例

頭頸部癌における放射線療法の有害事象の一つとして放射線性壊死が挙げられ、時に治療抵抗性であり対応に難渋する。今回われわれは根治切除不能な局所進行中咽頭癌に対し導入化学療法(ドセタキセル、シスプラチン、フルオロウラシル 3 剤併用療法)後にセツキシマブ併用放射線療法を行ったところ、腫瘍消失後に咽頭粘膜壊死を起こし、内頸動脈から出血を来したものの、内頸動脈へのステント留置によって救命し得た 1 例を経験したので報告する。頭頸部領域において放射線性壊死は治療前の腫瘍が頸動脈などの重要臓器を巻き込んでいた場合には致命的な合併症につながることがあり、重篤な合併症回避のためにも早期より高気圧酸素療法の施行...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 70; no. 3; pp. 137 - 143
Main Authors 山内, 盛泰, 峯崎, 晃充, 倉富, 勇一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 20.05.2024
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ISSN0447-7227
2185-1034
DOI10.11334/jibi.70.3_137

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Summary:頭頸部癌における放射線療法の有害事象の一つとして放射線性壊死が挙げられ、時に治療抵抗性であり対応に難渋する。今回われわれは根治切除不能な局所進行中咽頭癌に対し導入化学療法(ドセタキセル、シスプラチン、フルオロウラシル 3 剤併用療法)後にセツキシマブ併用放射線療法を行ったところ、腫瘍消失後に咽頭粘膜壊死を起こし、内頸動脈から出血を来したものの、内頸動脈へのステント留置によって救命し得た 1 例を経験したので報告する。頭頸部領域において放射線性壊死は治療前の腫瘍が頸動脈などの重要臓器を巻き込んでいた場合には致命的な合併症につながることがあり、重篤な合併症回避のためにも早期より高気圧酸素療法の施行や感染状況に応じて抗生剤投与等の適切な治療対応が必要であると考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.70.3_137