認知症者の拒否行動に対して段階的な介入を行った症例

本研究は,認知症者の拒否行動に対して,機能分析を行う事により,拒否行動が減少し,更に,離床頻度増加に繋げる事が出来るのか検証した.セラピストが関節可動域訓練を行うと拒否発言があり,関節運動を伴う手技が拒否行動を強めている事が推察された.リハビリテーションにより生じる刺激の中で,患者の拒否行動に関与する刺激が嫌子化しないように段階的な介入が必要であると考えた.介入期Ⅰでは,関節運動を伴わないモビライゼーションやストレッチなど模索しながら介入し,リハビリテーションに対しての拒否行動の消失,段階的なギャッジアップ座位までの介入が可能となった.介入期Ⅱでは,離床に対して恐怖心・疲労感が生じていることを...

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Published inリハビリテーションと応用行動分析学 Vol. 9; pp. 17 - 20
Main Authors 田辺, 尚, 岩佐, 亮, 遠藤, 晃祥
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published リハビリテーションのための応用行動分析学研究会 2022
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ISSN1884-2658
2759-2588
DOI10.60400/rehaaba.9.0_17

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Summary:本研究は,認知症者の拒否行動に対して,機能分析を行う事により,拒否行動が減少し,更に,離床頻度増加に繋げる事が出来るのか検証した.セラピストが関節可動域訓練を行うと拒否発言があり,関節運動を伴う手技が拒否行動を強めている事が推察された.リハビリテーションにより生じる刺激の中で,患者の拒否行動に関与する刺激が嫌子化しないように段階的な介入が必要であると考えた.介入期Ⅰでは,関節運動を伴わないモビライゼーションやストレッチなど模索しながら介入し,リハビリテーションに対しての拒否行動の消失,段階的なギャッジアップ座位までの介入が可能となった.介入期Ⅱでは,離床に対して恐怖心・疲労感が生じていることを考慮し,段階的なギャッジアップ介入や離床の必要性を介入前に提示しながら行い,介助下で端坐位まで実施可能となり,継続して拒否なく介入が可能となった.この結果から,シングルケースではあるが,認知症者に対する拒否行動に対して,段階的な介入が効果的である可能性が示唆された.
ISSN:1884-2658
2759-2588
DOI:10.60400/rehaaba.9.0_17