携帯電話のメール機能を活用した健康教育プログラムの開発と有効性の検討
目的 本研究の目的は,携帯電話のメール機能を活用した健康教育プログラムを開発し,有効性を検討することである。また,このプログラムは,生活習慣の改善により効果の表れやすい減量と肥満予防を達成目標とすることと,その後の広い範囲での活用も想定し非対面式として開発することとする。 方法 携帯電話のメール機能を活用した健康教育プログラム「i-exerM」を開発し,静岡県内在住もしくは静岡県内に勤めていて,NTT DoCoMo の i モード,JPHONE(現ボーダフォン)の J-スカイを契約している者136人(男性28人,女性108人)に平成15年 7 月15日から平成15年10月 8 日までの12週間...
Saved in:
Published in | 日本公衆衛生雑誌 Vol. 51; no. 10; pp. 862 - 873 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本公衆衛生学会
2004
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1766 2187-8986 |
DOI | 10.11236/jph.51.10_862 |
Cover
Summary: | 目的 本研究の目的は,携帯電話のメール機能を活用した健康教育プログラムを開発し,有効性を検討することである。また,このプログラムは,生活習慣の改善により効果の表れやすい減量と肥満予防を達成目標とすることと,その後の広い範囲での活用も想定し非対面式として開発することとする。 方法 携帯電話のメール機能を活用した健康教育プログラム「i-exerM」を開発し,静岡県内在住もしくは静岡県内に勤めていて,NTT DoCoMo の i モード,JPHONE(現ボーダフォン)の J-スカイを契約している者136人(男性28人,女性108人)に平成15年 7 月15日から平成15年10月 8 日までの12週間試行した。i-exerM は,減量に関する実践情報と,減量・肥満予防に関する一般的な情報について,毎日一回携帯電話にメールする内容となっている。このプログラムは,行動科学的な考え方を取り入れて,毎日異なる情報を送信した。減量に関する実践情報に関しては,セルフモニタリング的手法を活用し,インターネット経由での登録が可能になるようにした。そして,i-exerM 開始前,終了後に身体状況,生活習慣,プログラムの評価に関する質問紙調査を実施した。なお,プログラム期間中,参加者とは一度も対面しないこととした。この試行結果から,携帯電話のメール機能を活用した健康教育の実施可能性について検討した。 成績 1) i-exerM 開始前,終了後に質問紙を提出した者は,男性14人(50%),女性69人(64%)であった。 2) i-exerM に参加した136人の内,63人(46%)に体重減少の傾向があった。この内,i-exerM 開始前,終了後に質問紙を提出した者の平均体重は,男性では73.2 kg から71.1 kg へ,女性では58.8 kg から57.6 kg に有意な(P<.001)低下が認められた。 3) i-exerM に関する評価は,「減量を始める・見直すこと」に,「大いに役立った」との回答は44人(32%)と比較的高率であった。 結論 i-exerM を試行した結果,一定の減量傾向が窺えたことから,携帯電話のメール機能を活用した健康教育は実施可能であることが示唆された。今後は,減量のみではなく,高血圧予防や高脂血症予防などの生活習慣に起因する疾病にも対応した健康教育プログラムとなるよう,さらに i-exerM の改良が求められると思われる。 |
---|---|
ISSN: | 0546-1766 2187-8986 |
DOI: | 10.11236/jph.51.10_862 |