自発性異常味覚症の特徴と発症機序について
自発性異常味覚(spontaneous dysgeusia:以下 SD)症と診断した特徴的な 13 例を提示する。SD 症は、所見・症状・背景共に舌痛症に近似することが分かった。実際、両疾患は区別困難である場合もまれではない。口腔感覚は近隣の雰囲気を感知・評価する機能を有している。口腔感覚でもある SD 症例の 62.7%が家庭にストレスがあると答えている。 その SD 症は近年増加傾向にある。実際、SD 症は 2007 − 2009 年では 14 例で、2019 − 2021 年では 65 例に増加している。その原因の一つに筆者らは高齢化と介護が原因ととらえている。怒りの表情を見ると第二味覚...
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Published in | 耳鼻と臨床 Vol. 69; no. 3; pp. 221 - 237 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
耳鼻と臨床会
20.05.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0447-7227 2185-1034 |
DOI | 10.11334/jibi.69.3_221 |
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Summary: | 自発性異常味覚(spontaneous dysgeusia:以下 SD)症と診断した特徴的な 13 例を提示する。SD 症は、所見・症状・背景共に舌痛症に近似することが分かった。実際、両疾患は区別困難である場合もまれではない。口腔感覚は近隣の雰囲気を感知・評価する機能を有している。口腔感覚でもある SD 症例の 62.7%が家庭にストレスがあると答えている。 その SD 症は近年増加傾向にある。実際、SD 症は 2007 − 2009 年では 14 例で、2019 − 2021 年では 65 例に増加している。その原因の一つに筆者らは高齢化と介護が原因ととらえている。怒りの表情を見ると第二味覚野が活性することが知られている。実際、同居者の怒りの顔を見ると SD が発症するという例は少なくない。不快な味質と嫌悪は扁桃体に記憶されているが、不快な情報は扁桃体を刺激して不快な味質を中枢で生むことになり、それを患者は舌に自覚する。これが SD 発症の機序と考えた。 |
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ISSN: | 0447-7227 2185-1034 |
DOI: | 10.11334/jibi.69.3_221 |