くも膜下出血後の遅発性虚血性脳障害をめぐる新展開
脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血 (SAH) は依然, 予後不良である. 脳血管攣縮は介入可能な予後不良因子として最重要視され, 過去50年以上にわたり研究および治療のターゲットであった. しかし, 遅発性脳梗塞の発生率はいまだに約20%と高く, 解決したとは言い難い. 一方, 最近の臨床研究で脳血管攣縮の克服だけではSAHの予後改善に限界があることは明らかである. 即ち, 脳血管攣縮とは別に脳側の要因が重要視されるようになり, 早期脳損傷という新たな病態が提唱されたり, 大脳皮質拡延性抑制の関与が報告されるなど, SAH後の遅発性脳虚血の病態に関する新たな展開がみられる. ここでは遅発性脳虚血...
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Published in | 脳神経外科ジャーナル Vol. 24; no. 4; pp. 232 - 238 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経外科コングレス
2015
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0917-950X 2187-3100 |
DOI | 10.7887/jcns.24.232 |
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Summary: | 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血 (SAH) は依然, 予後不良である. 脳血管攣縮は介入可能な予後不良因子として最重要視され, 過去50年以上にわたり研究および治療のターゲットであった. しかし, 遅発性脳梗塞の発生率はいまだに約20%と高く, 解決したとは言い難い. 一方, 最近の臨床研究で脳血管攣縮の克服だけではSAHの予後改善に限界があることは明らかである. 即ち, 脳血管攣縮とは別に脳側の要因が重要視されるようになり, 早期脳損傷という新たな病態が提唱されたり, 大脳皮質拡延性抑制の関与が報告されるなど, SAH後の遅発性脳虚血の病態に関する新たな展開がみられる. ここでは遅発性脳虚血に関する最近の知見と課題を述べる. |
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ISSN: | 0917-950X 2187-3100 |
DOI: | 10.7887/jcns.24.232 |